被爆者・ウクライナ避難者が核兵器廃絶など訴え航海へ

広島の被爆者やウクライナから避難している若者などを乗せ、世界各地を回って核兵器の廃絶と平和の実現を訴える船が横浜港を出発しました。

NGOの「ピースボート」は2008年から被爆者らと船で世界各地をめぐり被爆体験の証言や核兵器廃絶を訴える活動を続けていて、今回は3人の被爆者のほかに、ロシアによる軍事侵攻で日本へ避難してきた人を含めた10代や20代のウクライナの若者7人が初めて参加しました。
出航前の記者会見で6歳の時に広島で被爆した田中稔子さん(85)は、「いま核兵器が使われるんじゃないかという危機感が高まっている。核兵器が使われると世界がどうなるか、特に若い人に自分事として考えてもらいたい」と訴えました。
おととし9月から日本に避難しているソフィア・デミデンコさんは、「私たちが経験したことをほかの国の人にさせないよう訴えたい。一緒に活動する被爆者の方々とはそれぞれが経験した20世紀と21世紀の戦争の共通点と違いを共有し、どうやって戦争を防げるのかを考えていきたい」と話していました。
また、船上で開かれたセレモニーでは、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員が「核兵器禁止条約を核保有国の指導者に守らせることが今ほど求められている時はない。ほかの被爆者とともに精いっぱい訴えてきたい」と意気込みを述べました。
船は3か月あまりにわたって世界18か国をめぐり、7月下旬に横浜港に帰港する予定です。