日鉄跡地の利活用 会社側が3者協議不参加の意向

日本製鉄の呉市にある製鉄所の跡地の利活用をめぐり、広島県と呉市、日本製鉄の3者が防衛省が示した計画以外の選択肢も検討する協議に日本製鉄側が参加しない意向を県に伝えていたことが分かりました。

これは広島県の湯崎知事が9日の定例記者会見で明らかにしました。
それによりますと、今月中の開催に向けて調整されていた広島県や呉市、日本製鉄が参加する3者協議について、今月3日、日本製鉄側が▼防衛省が新たに整備したいとしている「複合防衛拠点」の案に注力するため、現時点では参加できないとする意向を県に伝えたということです。
これについて湯崎知事は「地域も製鉄所の恩恵を受けてきた一方で、事業所を支えるためにインフラ投資などを行ってきた。日本製鉄側の利益を追求するだけではなく、地域にとってベストな選択肢を考えることにもう少し配慮があってもいいのではないか」と述べ、日本製鉄側の対応に不快感を示しました。
その上で、「地域経済の発展を念頭に、幅広い利活用策を検討することが重要で引き続き3者協議の開催を要請したい。防衛省の案についても具体的な内容を明らかにするよう働きかける」と述べました。

【呉市 新原市長 “日鉄に3者協議参加を要請”】
呉市の新原市長は記者団に対し、県と同様に今月3日、日本製鉄から協議に参加しない意向を伝えられたとしたうえで「広島県と相談して引き続き日本製鉄に3者協議に参加してもらうよう要請していきたい」と述べました。
また、今年度の予算に盛り込まれている県と合同で企業誘致も含め、跡地活用の可能性を調査する事業については「土地の性格など、結論に至るためには前提になることを調べなくてはならない。途中経過でどんな分析をしたかは非常に大切で、防衛省と議論するにあたっても情報や分析は有用で無駄にはならない」として、調査を実施する考えを示しました。

【日本製鉄 “防衛省を交えた協議に注力”】
日本製鉄はNHKの取材に対し「防衛省の提案はインフラが充実している呉地区の特性を生かし、敷地全体を早期に有効活用する会社の方針に合致しており、引き続き検討に尽力したい。まずは防衛省を交えた協議に注力して、広島県や呉市と連携したい」とコメントしています。