路線バス維持へ 広島市が「広島モデル」新組織発足

経営が厳しい路線バスを維持していくため、広島市とバス会社8社で共同運営を行う「広島モデル」を具体的に進めていくための新たな組織が発足し、4日、初めてとなる協議が行われました。

路線バスの維持を目的に、広島市は、8つのバス会社とともに共同で運営を行う「広島モデル」を進める方針で、関係する会社などが参画した「バス協調・共創プラットフォームひろしま」が今月発足しました。
4日、初めてとなる協議が広島市役所で行われ、はじめに広島市の山本陽明バス事業再構築担当課長が「事業者にとっても利用者にとっても最適な、広島ならではのバス事業が構築できるよう力を結集したい」と述べました。
また、8つのバス会社の担当者もあいさつし、「積極的に各社のデータや資料を持ち寄って議論したい」とか、「会社の垣根を越えるのは難しいことだが、1つでも多く実行に移していきたい」といった声が聞かれました。
このあと、協議は非公開で行われましたが、市によりますとバスの利用者を増やすための取り組みなどについて意見を交わしたということです。
担当者レベルの協議は週に1度のペースで続けられるということで、重複している路線の集約や車両の共同購入などについて検討を進めることにしています。

【「広島モデル」発足の背景は】
広島市では、ライバル関係にあるバス会社が垣根を越えてつながり、行政が主導する形でバスを共同で運営して路線の維持をはかる、「広島モデル」という取り組みを進めています。
背景には、▽バスの利用客の減少や▽運転手不足といった、バス会社の厳しい経営状況があります。
去年12月、広島市は▽重複する路線を集約したり、▽小型の車両を活用して便数を増やすことで利用者の増加を目指したりする実証実験を、バス会社の協力を得て一部の地域で行いました。
その結果、「一定の効果があった」として、市は共同運営に向けた基本方針をまとめ、先月(3月)22日に市とバス会社8社とで連携に向けた覚書を締結しました。
覚書では、「バス事業を『持続可能性』と『利便性』の高いものに再構築する」としていて、市とバス会社8社でつくる新たな組織で具体的に協議を進めるとしています。
具体的には、▼過密になっている市の中心部の路線を整理し、その分を郊外の路線に割り当てて路線の維持をはかることや、▼車両や施設を共同で利用することなどを検討するということです。
広島市の松井市長は「これまで個々の会社ではなしえなかったことを手を携えることで実現していく。既成概念にとらわれることなく、戦略的かつ積極的に共に取り組みたい」と話しています。