広島市の川で船彩った「艫飾り」発見 原爆投下前の貴重な史料

廿日市市にある嚴島神社の伝統の船の祭り、「管絃祭」の開催に合わせて、かつて広島市内の川で船を華やかに彩るために使われた「艫飾り」と呼ばれる幕が発見されました。
専門家は「原爆投下前の庶民の生活を伝える貴重な史料だ」としています。

嚴島神社で平安時代から続くとされる伝統の船の祭り「管絃祭」の開催に合わせて、広島市内の川では、「御供船」という華やかに装飾された船が江戸時代から昭和初期まで見られていました。
その「御供船」を彩るために使われた「艫飾り」と呼ばれる幕が広島市内の民家の倉庫で去年、発見され、29日、関係者に公開されました。
大きさは、縦およそ2.8メートル、横およそ2.5メートルで、赤い布に金色や銀色の糸を使って弁慶が橋の上でなぎなたを構えている姿が描写されていて、一部には金属やガラスも用いられています。
艫飾りを発見した広島修道大学非常勤講師の中道豪一さんによりますと、明治末期ごろの御供船の写真に、今回のものと同じ艫飾りが写っており、文献調査などを経て現物だと確認できたということです。
中道さんは「原爆でいろいろなものが焼失してしまった中、戦前の庶民の生活の様子を知ることができる貴重な史料だ」と指摘していて、今後、広島市に寄贈する予定だということです。