呉市の製鉄所跡地「複合防衛拠点」整備で初の4者協議

日本製鉄の呉市にある製鉄所の跡地に防衛省が新たに整備したいとしている「複合防衛拠点」をめぐり、防衛省と日本製鉄、それに呉市と広島県が参加し意見交換を行う会合が28日、初めて開かれました。

日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区の跡地をめぐり、3月4日、防衛省が「多機能な複合防衛拠点」を整備する考えを示し、日本製鉄と呉市、広島県と意見交換をする場を設ける意向を示していました。
これを受けて、28日、広島市中区の合同庁舎で初めての会合が開かれました。
冒頭、防衛省の担当者が「多機能な複合防衛拠点を整備したいと考えている。現時点での作業スケジュールなどを説明し、率直な意見を聞きたい」と述べました。
また、日本製鉄の担当者は「インフラが充実している製鉄所の特性を生かし、敷地全体の早期の有効活用という会社の方針に合致した提案だと考えている。協議を通じて検討を進めていきたい」と述べました。
会合はこのあと、およそ40分間、非公開で行われました。
会合のあと、出席者が報道陣の取材に応じ、防衛省地方協力局の村井勝総務課長は、「地元企業の活用や地域経済へ貢献といった点はしっかりと受け止めてできる限りゾーニング、配置計画の中に反映したい」と述べました。
また、広島県の玉井優子副知事は「跡地利活用の選択肢の1つだが、民間誘致を含めた製造基盤など詳細がいまだ不明だ。地元にとって将来性のあるものが来るのか、引き続き丁寧に話を聞きたい」と話していました。
呉市の阿原亨副市長は「市民にとって将来にわたり、希望と誇りが持てるような活用を出席した関係者にお願いした」と話していました。
一方、製鉄所の跡地の利活用をめぐっては防衛省が示した計画以外の可能性を探るため、県と呉市、日本製鉄の3者による協議の場が設けられることになっています。
4者協議に先立って合同庁舎の前では防衛省の計画に反対する市民らおよそ60人が「跡地の軍事拠点化許さない」や「平和産業誘致を」などと書かれた横断幕を掲げ、抗議活動を行いました。
抗議活動の中で、参加者は「市民は空襲や焼け野原になった呉市を忘れていない」などと訴え、防衛拠点として整備する方針を撤回するよう求めていました。