日鉄跡地の「複合防衛拠点」構想 防衛省が呉市議会で説明

日本製鉄の呉市にある製鉄所の跡地に防衛省が「複合防衛拠点」を整備したい意向を示していることをめぐり、11日、防衛省は呉市議会で整備計画を説明しました。
この中で防衛省側は、「火薬庫も整備の検討対象だがメインで作ると多機能な複合防衛拠点にはならない」などと述べ、火薬庫を主要な機能として整備することには否定的な考えを示しました。

午後1時から開かれた呉市議会の協議会には、防衛省地方協力局の村井勝総務課長など職員3人が出席しました。
冒頭、防衛省側は呉には海上自衛隊があり、米軍の岩国基地なども近く、地理的に重要性が増すとして▼装備品の維持整備、製造基盤、▼防災拠点と部隊の活動基盤、▼港湾機能の3つを整備する方針を改めて示しました。
その上で「日本製鉄からは構造物の解体に10年以上かかるのではないかと伺っているが、一部既存の建物を活用するかも含めて交渉をしている」と述べました。
そして「火薬庫については整備の検討対象の1つとして想定しているが、火薬庫をメインで作ると多機能な『複合防衛拠点』にはならない」と述べ、火薬庫を主要な機能として整備することには否定的な考えを示しました。
また、議員が「兵器が装備されれば相手国の攻撃対象になるのではないか」と指摘したのに対し、防衛省の担当者は「防衛力の抜本強化は力による一方的な現状変更を許容しないという意志を対外的に示すもので、むしろ攻撃への対処力や抑止力を高める」と述べました。
協議会のあと、防衛省地方協力局の村井総務課長は記者団に対し「火薬庫メインの施設は保安距離の関係から多機能な複合防衛拠点にはならない。確定的には言えないが、作られるとしても規模はある程度、察していただくことも可能かと思う」と述べました。
また、記者団が施設を米軍も使用するのか質問したのに対し「どのような機能を整備するかによるが、自衛隊のための拠点なので、米軍のために整備をするものではない」と述べました。
一方、呉市役所の前では抗議活動が行われ、参加者たちは「防衛拠点の整備は呉を再び軍都にする行為だ」などと声を上げていました。