研修での「教育勅語」の引用めぐり市民団体が広島市に質問状

広島市の松井市長が職員向けの研修で「教育勅語」の一部を引用して講話してきたことをめぐり、市民団体が情報公開請求で入手した過去の研修の録画を検証した結果、疑問点が出てきたとして市に質問状を提出するとともに、引用の中止を改めて求めました。

質問状を出したのは引用の中止を訴えてきた2つの市民団体です。
広島市では、平成24年度以降の新規採用職員と新任課長級職員の研修で、毎年、松井市長が教育勅語の中の「爾臣民兄弟に友に博愛衆に及ぼし学を修め業を習い知能を啓発し進んで公益を広め世務を開き」という部分を引用して講話してきました。
市民団体が情報公開請求でこの研修の録画を入手して検証したところ、疑問点が出てきたとして市への質問と改めて引用の中止を求める書面を16日、広島市に提出しました。
市民団体が入手したのは2020年度から23年度までの4年間の新任課長級研修の録画で毎年、教育勅語の一部が日本語と英語訳で紹介されています。
このうち2023年度の動画では、松井市長が「英訳を見ると、民主主義のすばらしいことを書いてある文書という風に見える。良きものは残すということがあってもいいのではないか」などと述べています。
これについて団体側は、どのような点が民主主義か具体的に説明していないほか、引用した英文は教育勅語の一部で、緊急事態では国家に身をささげるという結論が反映されておらず誤った認識を職員に与える恐れがあるとして市長の見解を尋ねています。
質問状を出した市民団体のひとつ、日本ジャーナリスト会議広島支部の藤元康之事務局次長は「今回の引用は到底許すことができない。市長には誤りを認めてもらい、2度と使わないようにしてほしい」と話しています。
質問状を受け取った広島市は「趣旨や内容を確認して市長に伝えたい」としています。