安芸高田市 市議会広報紙の発行予算計上せず

安芸高田市は、市議会の広報紙について、一部に虚偽があるとして、新年度・令和6年度当初予算案に発行のための予算を計上しないと発表しました。
市議会をめぐっては市長と一部の会派との間で対立が続き、2月に開会する定例議会にも影響が及ぶとみられます。

安芸高田市議会の広報紙「議会だより」をめぐっては、石丸伸二市長が令和4年11月号に掲載された一般質問の議員と市長とのやりとりの内容に虚偽があるとして、訂正や再発防止の対応がない場合、発行予算を計上しない考えを市議会の大下正幸議長などに示していました。
石丸市長は、31日、臨時の記者会見を開き、大下議長から訂正などの対応がなかったとした上で「議会だよりには市民の知るべき情報が載っていない。広報紙で間違ったことを伝えてはいけないというのは大前提で、この正当性が担保されないと捉えたので、議会だよりの予算は落ちる」と述べ、新年度・令和6年度当初予算案に発行のための予算を計上しないことを発表しました。
石丸市長が問題としているのはおととし9月13日の一般質問で議事録では議員から、国や県への市長の要望や陳情の活動についての質問があり、石丸市長は「平成30年度は全部で16件、令和元年度17件」「私が就任してから丸ごとの令和3年度22件、令和4年度8月までまだ5か月の時点ですが15件でした」などとそれぞれの年度での要望活動の件数を示して、就任前より回数が増えているとした上で、陳情や要望はむやみにやっても意味がなく、適宜、必要な分だけ行う方針だと答弁しています。
議会だよりでは、この答弁について、「それなりにやっているが、これはむやみにやっても意味がなく、適宜適切に行っている」と記載していて、石丸市長は内容に誤りがあると指摘しています。
これに対し大下議長は議事録に「それなりにやっている」とする記載はないとしながら、答弁の要約だとして、訂正などは行わない考えを市に伝えたということです。
大下議長は取材に対し「内容が虚偽ではないという結論を市長に伝えたにも関わらず、予算を計上しないことを市民が納得するのか。市長の権限で予算を削るのはいかがなものかと思う」と述べました。

【議会広報について】
全国市議会議長会によりますと、全国の市と東京23区で議会広報を発行しているのはおととし12月31日現在で、全体の99.3%だということです。

【この問題で識者は】
元総務大臣で、地方自治に詳しい大正大学地域構想研究所の片山善博所長は、「議会にとって広報紙は要約した内容にはなるが、情報発信の重要な手段だ。議事録そのものではないので、書き方が違うのは当然で、誤解を与える表現であれば釈明すればいいと思うが、予算をなくすというのは異様だと思う」と話しています。