相次いだ建物倒壊「広島県内でも今回規模の地震なら同様被害」

最大震度7の揺れを観測した能登半島地震では、激しい揺れで木造住宅などの建物が相次いで倒壊しました。
専門家は「広島県内でも今回の規模の地震が起きれば、同じような被害が起こりえる」として、それぞれの家庭でできる備えを進めるよう呼びかけています。

1月1日の能登半島地震では、石川県の各地を震度7や震度6強の激しい揺れが襲い、木造住宅を中心に建物の倒壊が相次いで多くの犠牲者が出ています。
建物の被害が相次いだ要因について、地震工学が専門で広島大学大学院の三浦弘之准教授は揺れの「周期」と地域の「地盤」が影響したと分析しています。
このうち「周期」は1回の揺れにかかる時間のことで、今回の地震では、木造の建物に大きな被害を与えるとされる1秒から2秒程度の比較的ゆっくりとした揺れが観測されたということです。
また、大きな被害が出た平地が比較的、軟弱な地盤にあったため、周期が1秒程度の揺れが大きくなった可能性があると分析しています。
三浦准教授は「地盤の揺れ方が建物に大きな影響を及ぼす揺れ方だったことも、被害が大きくなった要因だと考えられる」と指摘しました。
三浦准教授によりますと、こうした軟らかい地盤の特徴は広島県内でも広島市や福山市など南部の都市部にあるということです。
そして、「今回の規模の地震が起きれば、同じような被害が起こりえるかもしれない。特に広島市の沿岸部の埋め立て地盤が広がっている地域は、非常に軟弱な地盤と言われており、地震の時に揺れが大きくなりやすい傾向がある」と注意を呼びかけています。
広島県内では、2001年3月の「芸予地震」を最後に震度6弱以上の揺れは観測されていませんが、三浦准教授は「20年起きていないから“今後も安全”ということではない。県内にもいくつか活断層があり、今回の地震のように、想定されていなかった断層もあるかもしれない。大きな地震がいつ起きても大丈夫なように備えを進めてほしい」と話しています。
具体的には必要に応じて自宅の耐震補強を行うほか自宅周辺の揺れやすさをハザードマップで把握しておくとともに、日常的な避難場所の確認や持ち出し品の点検・準備といった備えを、それぞれの家庭で進めてほしいとしています。