被爆建物「旧陸軍被服支廠」が国の重要文化財に指定へ

広島市にある最大規模の被爆建物「旧陸軍被服支廠」が新たに国の重要文化財に指定されることになりました。

国の重要文化財に指定されるのは広島市南区にある「旧陸軍被服支廠」の4棟です。
「旧陸軍被服支廠」は日露戦争後に陸軍の後方支援施設を充実させるため大正3年に建設され、軍服などの製造と貯蔵に使われました。
原爆投下直後、爆心地から2.7キロの場所にあり、爆風に耐えた建物は臨時の救護所として使われて、多くの被爆者が運び込まれたほか、戦後は学校の教室や運送会社の倉庫になり、平成6年に広島市が被爆の惨状を伝える被爆建物に登録しました。
4棟あるうち3棟を県が所有、1棟を国が所有していて規模としては最大級の代表的な被爆建物ですが、建設からおよそ110年がたち、地震で倒壊する危険性が指摘されたことから、保存や活用のあり方について検討が続けられてきました。
国の文化審議会は、4棟について現存する最も古い部類の鉄筋コンクリート造りの建造物であり、基礎や屋根などに先駆的な技術が用いられ、被爆後には臨時救護所として戦後も使用されてきた被爆建物で歴史的にも価値が高いなどとして、24日、重要文化財の指定を文部科学大臣に答申しました。
県によりますと、県内で国の重要文化財に指定される建造物はこれで58件になるということです。
広島県の湯崎知事はコメントを発表し「『旧陸軍被服支廠』の価値が認められ、国による今後の支援につながるもので、大きな進展だ。安全対策工事の財政負担について、国や広島市と調整を進めており、早期に方針が示せるよう取り組みたい」としています。