過去にも県立高1校で低価格契約

広島市の「ホーユー」が寮での食事提供を停止した広島県立の高校のうち1校で、平成31年から去年までの3年間の調理委託業務を「ホーユー」とは別の会社が予定価格を大幅に下回る36万円で落札し、契約していたことが分かりました。
専門家は食事を継続して提供する契約としてはありえない金額だとして契約のあり方を検証する必要があると指摘しています。

6つの広島県立の高校の寮で、今月に入って食事の提供が停止し、業務を請け負ってきた広島市の「ホーユー」は25日広島地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けています。
こうした中、県立高校の寮の食事提供をめぐって東広島市の西条農業高校では去年3月までの3年間の寮での調理委託業務について平成31年に一般競争入札を行い「ホーユー」とは別の広島市の会社が予定価格を大幅に下回る36万円で落札して契約を結んでいたことが分かりました。
県では予定価格の70%を下回る低落札の場合、契約後に入札額の内訳や労働関係の法令に違反がないかなどを調べることになっていますが、学校が調査した結果調理員の給与は最低賃金を上回っていて、労働関係の法令にも違反はなかったとして業務を委託したということです。
県教育委員会は「非常に低い価格と認識しているものの、業務は履行された」としています。
落札した会社はNHKの取材に対し「広島での契約実績を得たかったので、赤字だったが、ほかの事業で補てんをした。入札額の下限を設定していない県の制度が実際にどのように運用されているのかも知りたかった」と話しています。
給食マネジメントに詳しい日本給食経営管理学会の赤尾正理事長は「寮での食事を継続して提供する契約金額としてはありえない金額だ。調理をする人の人件費が1日数百円で1時間働けるかどうかという契約になっていて安い金額で請け負う事業者がいたからいいというのは無理がある」としています。
その上で「食事の適正価格を委託側・受託側の双方が見いだすことが重要で、入札にあたっては栄養面や衛生面、スタッフの教育などを要件として示す必要がある」として、契約のあり方を検証するべきだと指摘しました。
県教育委員会によりますと、西条農業高校ではこの契約の終了後、入札方式を価格以外の要素についても審査・評価する総合評価落札方式に変更し、去年4月からの調理委託業務を「ホーユー」が1500万円余りで落札して契約を結んでいました。
県教育委員会は「ホーユー」との契約について、業務履行ができなかった要因を分析することにしていますが、安定的に食事の提供ができる適正価格での契約についても今後、議論が求められそうです。