原爆文学の資料保全 市民団体に「サントリー地域文化賞」

地域文化の発展に貢献した個人や団体に贈られることしの「サントリー地域文化賞」に、貴重な原爆文学の資料の調査や保全に取り組んでいる広島市の市民団体が選ばれました。

ことしの「サントリー地域文化賞」には全国5つの団体の受賞が決まり、広島県から、広島市の「広島文学資料保全の会」が選ばれました。
「広島文学資料保全の会」は、原民喜や峠三吉など被爆作家をはじめとした広島ゆかりの文学作家の肉筆の原稿や書簡、資料の調査や収集、保全を行っている市民団体です。
1987年に発足してからこれまでに、収集した資料などおよそ1万点を広島市の中央図書館に寄贈してきました。
今回の受賞では、原爆文学を「広島文学」としてその価値を高めたことに加え、失われるおそれもあった資料を地域の文化的財産として守り、催しなどを通じてその意義を国内外に継続して伝えてきたことが評価されました。
「広島文学資料保全の会」の土屋時子代表(75)は「今回の受賞は長年、無欲で会の活動を支え、今はもう亡くなった多くの会員のおかげです。被爆作家たちが命がけで残した言葉は核廃絶への力になると思っていて、受賞は今後の活動の励みになる」と話していました。