カルテルめぐり課徴金707億円 中電が元会長ら3人提訴へ

事業者向けの電力販売をめぐりカルテルを結んでいたとして中国電力が707億円余りの課徴金の納付命令を受けた問題で、中国電力の株主が当時の取締役ら22人に800億円余りの賠償を求める訴えを起こすよう求めたのに対し、中国電力は、このうち前の会長や社長など3人を提訴することを決めました。

中国電力は、事業者向けの電力販売をめぐり関西電力との間でカルテルを結んでいたとしてことし3月、公正取引委員会から707億円余りの課徴金の納付を命じられたことに対し、6月、20人の株主から当時の取締役らに対して賠償を求める訴えを起こすよう請求されました。
中国電力は、複数の外部の弁護士からなる調査委員会を設置するなどして調査した結果、提訴するよう請求を受けた当時の取締役ら22人のうち、関西電力との情報交換をする中で独占禁止法に違反する行為が認められたとして、前会長の清水希茂相談役と前社長の瀧本夏彦特別顧問、それに渡部伸夫元副社長の3人について責任追及の損害賠償を求める訴えを広島地方裁判所に起こすことを決めたと発表しました。
3人に対する請求額は、納付する課徴金に加え、6月までの調査費用6000万円などの合計額になる予定ですが、このうち課徴金の金額は別の裁判で争うことにしているため総額は現時点では未定だということです。
提訴される3人のうち、清水前会長は相談役を瀧本前社長は特別顧問を、いずれも3日付けで辞任したということです。
残る19人については法令違反は認められなかったとして提訴しない方針です。
中国電力は「慎重に調査を進めた結果、法令違反が認められる者に対して提訴を行わざるを得なくなった。この事態を重く受け止めるとともに、1日も早い信頼回復に努めたい」としています。
中国電力が前の会長や社長など3人を提訴することを決めたことについて、賠償を求める訴えを起こすよう請求した株主の1人、木原省治さんは
「ひどいことをしていたことから提訴に踏み切らざるを得なかったのだろうと思う。
弁護士とも話して、訴訟に参加する制度を使って中国電力とともに3人の責任を追及したいと考えている。
また、提訴されなかった19人については株主代表訴訟の提起を検討したい」と話しています。