大規模買収事件 録音した元広島市議の弁護士が会見

この問題で、木戸経康元広島市議会議員の弁護人を務める田上剛弁護士が、広島市内で記者会見を開きました。

この中で田上弁護士は、元市議が3年前の3月から6月にかけて東京地検特捜部の検事から10回にわたって任意の取り調べをうけた際、そのうちの数回分のやりとりを録音していたことを明らかにしました。
弁護士によりますと、録音データには「出来たら議員を続けていただきたい。そのレールに乗ってもらいたい」とか、「なんとか処分を不起訴であったり、なるべく軽い処分に」といった特捜部の検事の発言が記録されていて、河井元大臣から受け取った現金が買収目的だったと認めるよう促すやりとりだったということです。
また、元市議は、河井元大臣の裁判には証人として出廷し、受け取った現金の趣旨について「票の取りまとめや選挙運動の依頼だと思った」などと証言していましたが、裁判の前に検事と尋問でのやりとりについて確認した際の音声も残っていたということです。
これについて田上弁護士は、「大前提として取り調べの段階から『協力すれば悪くしないから』という趣旨があり、不起訴にするという形でやっていた」と述べて、検察にとって有利な証言を促すやりとりがあったと主張しました。
田上弁護士は、「違法な利益誘導が入った内容だ。特捜部の捜査はストーリーありきの犯人を決めつけたもので、無理な供述を取っているのではないか」と批判したうえで、来週始まる元市議の裁判では無罪を主張する考えを示しました。

【録音データのやりとりは】
音声データは3年前の3月から6月にかけての9回に及んだ任意の取り調べの一部が中心で、4月には元市議が河井元大臣から受け取った紙袋の認識について、「お金なのかどうかもわからなかった」と説明したのに対し、検事は「議員を続けていただきたいので、否認というふうにしたくない」と応じていたほか、「出来たら議員を続けていただきたい。そのレールに乗ってもらいたい」と告げていたということです。
また、元市議が「これ、罰金とかいうこともあり得るのか」と尋ねると、検事は「理論上はありますよ。ただ、そうじゃないほうがご希望というか、私たちもそうなんで。極力そういうふうになるように事実を話して、反省している内容の書類にしたい」と応じ、公職選挙法違反を認める内容の調書が完成したということです。
その後、元市議が元大臣から金を受け取った時の状況について「その時はもう、何も考える暇がないくらい急いでいた」と買収の趣旨の認識を否定したところ、検事は「何も考えてなかったという話は通用しない。全面的に認めて反省してることを出してもらって、それでいい話になって、何とか処分を不起訴であったり、なるべく軽い処分にというふうにしたいと思っています」などと話していたということです。