最大規模の洪水や高潮 県内19市町の本庁舎が浸水リスク

広島県だけで、関連死を含めて152人が亡くなり、5人が行方不明となっている「西日本豪雨」の発生から7月6日で5年になります。
広島県内の市や町の本庁舎のうち、19の市や町で最大規模の洪水や高潮で浸水するリスクがあり、このうち、一部の市や町では停電時に業務の継続に課題があることが分かりました。

NHKは、県内23の市と町の本庁舎について、▼国や県が想定する1000年に1度の洪水や最大規模の高潮による浸水想定のデータと、▼本庁舎の位置を照らし合わせました。
その結果、県内19の市と町で、本庁舎が浸水するリスクがあり、浸水の深さは、▼三次市で5メートルから10メートル、▼広島市や福山市、呉市、廿日市市、府中市、竹原市、海田町、坂町、府中町の9つの市と町は、3メートルから5メートルなどとなっています。
このうち、7つの市と町は非常用電源がなかったり、地下や地面とほぼ同じ高さに設置されていて、浸水と停電が重なった場合、業務の継続に課題があることが分かりました。
また、国は、全国の自治体に対し、庁舎が使えなくなった場合の代わりとなる「代替庁舎」を定めるなど、業務を続けるための対策を求めていますが、浸水が想定される2つの町では、代替庁舎を定めていませんでした。
2015年の関東・東北豪雨では茨城県の常総市役所が浸水し、屋外の地面とほぼ同じ高さに設置していた自家発電機が水没しました。
これによって、固定電話やパソコンが使えず、外部との連絡手段の大半が絶たれたほか、住民票などの情報があるサーバーにアクセスできず、安否確認にも影響が出て1日半にわたって業務に深刻な支障が出ました。
自治体の防災対策に詳しい東京大学大学院の関谷直也准教授は「災害が起きても行政としての機能を失わないようにすることが大切だ。代替庁舎を決めておくだけではなく、通信手段を用意したり、重要なパソコンやサーバーを上の階に置いたり、業務を続けられる準備が必要だ」と話していました。