希少マルミミゾウ交尾確認

アフリカに生息し、絶滅の恐れがある小型のゾウ、マルミミゾウを飼育している広島市の動物園で、6月1日、交尾が確認されました。
繁殖が強く期待できるほどではなかったものの、飼育下でマルミミゾウの交尾が確認されるのは世界的にも珍しいということです。

マルミミゾウはアフリカの熱帯雨林にすむ小型のゾウで、密猟や生息環境の破壊で絶滅のおそれがあります。
広島市安佐北区にある安佐動物公園では、世界でも3頭しか飼育されていないとされるマルミミゾウのうち2頭、オスの「ダイ」とメスの「メイ」を飼育し、繁殖をめざしています。
2頭を別々のエリアで飼育して相性を観察してきたところ、柵越しにお互いを受け入れるような様子が見られ始めた上、「メイ」の血液などの検査結果から発情期が近いことが推測されました。
このため、5月2日から断続的に同じエリアで飼育していたところ、6月1日、繁殖が強く期待できるほどではなかったものの、交尾が確認されました。

安佐動物公園によりますと、飼育下でのマルミミゾウの交尾は、アフリカの動物園での記録があるのみで世界的にも珍しいということです。
安佐動物公園の種の保存・繁殖担当課長の竹内輝明さんは「2頭の同居は今回で3回目くらいだが、マウントまでいったのは本当に初めてなので、だんだんと進んでいっているのかなと非常に期待はしています。日本にはこの2頭しかマルミミゾウを飼育しているところはないので2頭にぜひ頑張ってもらってマルミミゾウの赤ちゃんが見られたらいいなというふうに思っています」と話していました。
安佐動物公園は今後も、2頭の様子を注意深く観察しながら繁殖に向けて取り組みを続けていくことにしています。

岐阜大学の教授で、動物園生物学研究センター長の楠田哲士さんは、ゾウの交尾について「ゾウの発情期は年3回、それぞれ数日しかないうえに外見の兆候を示さないため見極めがとても難しい。メスの発情期を見極めてオスと一緒にするため、飼育担当者は日々の観察に注力している」とその難しさを指摘しています。
また、アフリカのゾウの繁殖について、「アフリカからのゾウの輸入は実質的にほぼ止まったままで、世界中の動物園がゾウの繁殖の難しさと闘っている。繁殖への知見を蓄積して世界中でそれを共有することで動物園での繁殖をつないでほしい」と話しています。