過労死遺族が九大で講演「命を大切にする社会を作って欲しい」

過労死などの労働問題について考えてもらうと過労死で夫を亡くした女性が九州大学で講演し、法律を学ぶ学生に「過労死を社会全体の問題として捉え、命を大切にする社会を作って欲しい」と訴えました。
講演は2日、福岡市西区の九州大学で行われ、法律を学ぶ学生など10人が参加しました。
県立高校の教師だった夫を過労死で亡くした、北九州市の安徳晴美さんが経験を語り、この中で夫が脳出血で倒れたあと15年間一度も目覚めることなく亡くなったことや、学年主任やクラス担任を務めた夫が倒れる前の時間外労働は「過労死ライン」と言われる月80時間を大幅に超える125時間だったことなどを説明しました。
そして過労死を個人の問題としてではなく社会全体の問題としてとらえ命を大切にする社会を作って欲しいと呼びかけました。
そのうえでそれぞれの学生に対して「仕事をすると自分を後回しにしがちになるが幸せを感じない自分がいたら、いったん立ち止まって、違う景色を見てほしい。心に余裕が出来ると過労死は防げます」と語りかけました。
講演を聞いた3年生の女子学生は「授業では学べない、遺族の思いを聞くことができた。遺族に寄り添える弁護士になりたいと思いました」と話していました。