福岡拠点に活動作家・詩人の故森崎和江さんの業績振り返る催し

福岡を拠点に作家や詩人として活動し、おととし95歳で亡くなった森崎和江さんの業績を振り返る催しが福岡市で開かれました。
森崎和江さんは父親の仕事の都合で1927年に日本の統治下だった韓国で生まれ、帰国後は福岡を拠点に「まっくら女坑夫からの聞き書き」や「からゆきさん」など筑豊の炭鉱や女性史にまつわるノンフィクション作品や詩などを手がけました。
福岡市の西南学院大学で開かれたきょうの催しでは、森崎さんが構成を手がけたドキュメンタリー番組が上映されたあと、森崎さんについて研究をしている大阪大学特任研究員の大畑凛さんが講演を行いました。
講演の中で、大畑さんは森崎さんは聞き書きなどをする中で相手が語ったことから課題を見つけるという姿勢を持ち続け、社会の抑圧の構造を見つめていたことなどを解説しました。
会場では去年NHKで放送された森崎さんのドキュメンタリー番組も上映され、森崎さんが韓国で生まれた日本人として両国をめぐる歴史的な経緯に複雑な思いを持ち続けたことなどが伝えられました。
会場を訪れた20代の男性は「森崎さんのことを最近知り関心があって来たが、彼女が複雑な思いで活動していたことを知り、もっと著作を読んでみたいと思った」と話していました。