福岡県内で2人だけ 旧ソ連による抑留体験を語り継ぐ講演会

太平洋戦争の終戦直後、旧ソビエトによって元日本兵や民間人がシベリアなどに送られて過酷な労働を強いられた抑留について体験談を語り継ごうと、2人の元抑留者による講演会が福岡市で開かれました。
講演会は、高齢化によって元抑留者が減り続ける中、次の世代に当時、何があったのかを伝えようと、福岡市中央区で開かれ、2人の元抑留者がそれぞれの体験談を語りました。
このうち、95歳の佐藤隆さんは、17歳のときにシベリアに抑留され、厳しい寒さの中、樹木の伐採や下水道工事を強いられたことなど過酷な体験を振り返りました。
また、99歳の伊藤康彦さんは、寝る前に家族の話をしていた男性が翌朝、隣で冷たくなっていたことなど飢えに苦しんだことを語りました。
元抑留者とその家族などで作る団体の福岡県支部によりますと、県内で体験談を語り継ぐ活動を続けている元抑留者は佐藤さんと伊藤さんの2人のみで、記憶の継承が課題になっているということです。
父親が元抑留者だったという80代の男性は「父親から体験談を聞いたことはなく、きょうの話を聞いて戦争によってむごいことがおきたことを知りました」と話していました。