知的障害の息子の首をしめた殺人未遂の罪の母親に執行猶予判決

去年10月、福岡県内の自宅でシングルマザーとして軽度の知的障害がある息子を養育していた母親が息子の首を絞めたとして殺人未遂の罪に問われている裁判で、福岡地方裁判所は「被告人だけに責任を負わせることはできない」として保護観察のついた懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡しました。
去年10月、福岡県内で軽度の知的障害がある小学生の息子と暮らしていた母親は、自宅で息子の首をコードで絞め、けがをさせたとして殺人未遂の罪に問われました。
これまでの裁判で母親がシングルマザーで、おととし同居していた両親が相次いで施設に入り、家事や仕事をしながら1人で息子を養育する中、孤独や悩みを深めたことなどのいきさつが明らかになり、検察は、保護観察がついた執行猶予の判決を求め、弁護側も「治療や支援が必要だ」と刑の執行を猶予するよう求めていました。
30日の判決で、福岡地方裁判所の冨田敦史裁判長は「被害者を残してはおけないと無理心中しようとしており、一方的な考えで命を奪おうとすることは許されるものではないが、不安や孤独感を深めて精神状態を悪化させたことなどの経緯をみると、被告人だけに責任を負わせることはできない」などとして、保護観察がついた、懲役3年、執行猶予4年を言い渡しました。
判決のあと、裁判長は母親に「1日も早く息子と暮らしたいと願っていると思います。早く住まいや仕事をみつけることも大事ですが、焦りは禁物です。家族や専門家に相談しながら焦らずゆっくり進んでいくようにしてください」と呼びかけました。