工藤会トップに１審の死刑判決取り消し　２審は無期懲役判決　

北九州市の特定危険指定暴力団「工藤会」が市民を襲撃した４つの事件で、殺人などの罪に問われ１審で死刑判決を言い渡された組織のトップに対し、２審の福岡高等裁判所は１審の判決を取り消して、無期懲役を言い渡しました。
起訴された４つの事件のうち、漁協の元組合長が射殺された事件については無罪を言い渡しました。
特定危険指定暴力団「工藤会」は平成１０年から２６年にかけて北九州市などで漁協の元組合長を射殺したほか看護師や歯科医師など３人を拳銃や刃物で襲うなど４つの事件を起こし、１審の福岡地方裁判所は３年前、いずれも殺人などの罪に問われた組織のトップ、総裁の野村悟被告（７７）に死刑判決を、ナンバー２で会長の田上不美夫被告（６７）に無期懲役を言い渡しています。
これまでの裁判で、野村被告は１審に続き、いずれの事件でも共謀の事実はないと無罪を主張した一方、田上被告は、看護師と歯科医師がそれぞれ刃物で襲われた２つの事件を指示したと一転して関与を認めていました。
これに対し、検察は４つの事件いずれについても「２人の共謀を認めた１審の判決の判断に論理則・経験則に違反する不合理な点がないことは明らかだ」と主張し、控訴を退けるよう求めていました。
１２日午前１０時から２審の判決の言い渡しが始まり、福岡高等裁判所の市川太志裁判長は、冒頭で結論にあたる主文を述べ、野村被告に対し１審の判決を取り消して無期懲役を言い渡しました。
起訴された４つの事件のうち、漁協の元組合長が射殺された事件については無罪を言い渡しました。
ナンバー２の田上不美夫被告（６７）に対しては控訴を退け、１審につづいて無期懲役の判決を言い渡しました。