東海大福岡高の生徒自殺でいじめ10件認定 第三者委が報告書

3年前、宗像市にある私立高校で当時2年生の男子生徒がいじめ被害を訴える遺書を残して自殺していたことがわかりました。
第三者委員会は20日に報告書を公表し、下着を脱がされるなどの性的ないじめを受ける様子を撮影した動画を拡散されるなど10件のいじめを認定した一方、自殺の直接的な原因は特定できないと結論づけています。
これは、宗像市にある東海大学付属福岡高校の津山憲司校長と学校が設置した第三者委員会の委員長、宇加治恭子弁護士らが20日に記者会見をして明らかにし、委員会がまとめた報告書を公表しました。
報告書によりますと、2021年3月、東海大学付属福岡高校に通っていた当時2年生の男子生徒が、所属する剣道部内でのいじめ被害などを訴える遺書を残して自殺しました。
学校は法律に基づく「重大事態」として認定し、第三者委員会が調査した結果、男子生徒が10人以上の部員の前で上級生たちから粘着テープで体を畳に貼り付けられ、下着を脱がされて陰部をさらされたり、その様子を撮影した動画をSNSを通じてほかの生徒に拡散されたりするなど、10件におよぶいじめ行為を認定しました。
また、剣道部の顧問の対応をめぐり、生活態度の悪い部員というレッテルをはり、男子生徒の精神的な負担になっていたほか、男子生徒が再び剣道部の寮への入寮を希望したものの拒否されたことで、将来に対する絶望感を抱いたなどと指摘しています。
学校によりますと、この顧問はいじめを把握しながらも生徒が亡くなるまで学校に報告しておらず、現在も剣道部の顧問を続けているということです。
その上で第三者委員会は、男子生徒が自殺した原因について家庭環境などを含めた数々の事実が相まって引き起こされたとして、自殺の直接的な原因は特定できないと結論づけています。
第三者委員会が報告書をまとめたことを受けて遺族の母親は「一定のいじめの事実が認定されたこと、顧問の対応や剣道部のあり方について問題点が指摘されたことは、評価しています。息子は剣道が本当に好きだったので、いじめや顧問の不適切な対応などで自分らしい剣道が出来なくなっていくことはとても辛いことだったと思います。第三者委員会は、この息子の気持ちに丁寧に寄り添ってくれることなく、自殺の直接的な原因は分からないと判断しており、この点をとても残念に思います」などとコメントしています。
津山校長は、「ご遺族をはじめ、関係者のかたがたに深くお詫び申し上げます。報告書の内容を正面から受け止め、再発防止に取り組んでいく」と話しています。
一方、福岡県によりますと、生徒の遺族は今回の調査について法律に基づく再調査を求めていて県は「現在、検討している」としています。
心の悩み相談は福岡県が設置している「ふくおか自殺予防ホットライン」で毎日24時間、受け付けています。
電話番号は、092−592−0783です。