安保関連法めぐる裁判2審も棄却 福岡高裁 憲法判断せず

集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法は憲法9条に違反しているとして福岡県の住民などが国に賠償を求めた裁判で、2審の福岡高等裁判所は1審に続いて憲法判断をせずに訴えを退けました。
9年前の2015年に成立し、集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法について、福岡県の住民など77人は戦争の放棄を定めた憲法9条に違反し、平和的に生きる権利が侵害されたなどと主張して国に自衛隊の防衛出動などの禁止や賠償を求める訴えを起こしました。
3年前とおととし、1審の福岡地方裁判所は憲法判断をせずに訴えを退け、原告側が控訴していました。
31日の2審の判決で福岡高等裁判所の久保田浩史裁判長は自衛隊の防衛出動などの禁止を求める訴えについて「行政訴訟の対象にあたらず不適法だ」と退けました。
また、賠償については、「安全保障関連法によって戦争やテロ攻撃に巻き込まれる現実的危険が切迫するなど、原告らの生命、身体などに関する権利を侵害する具体的な危険が生じたとは認められない」などとして訴えを退けました。
安全保障関連法が憲法に違反するかについては判断を示しませんでした。
原告の弁護団によりますと同様の裁判は全国で25件起こされ、12月、仙台高等裁判所は原告側の訴えを退けたものの「憲法9条に明白に違反するとまでは言えない」として一連の裁判で初めての憲法判断をしていました。