JR九州 指宿枕崎線の一部区間について「あり方の議論を」

地方鉄道を取り巻く環境が厳しさを増す中、JR九州は、鹿児島県の指宿枕崎線の一部区間について、県や沿線の自治体と将来の地域公共交通のあり方を議論したいという意向を明らかにしました。
存続か廃止かの前提を置かず、未来志向で議論したいとしています。
これは、JR九州の古宮洋二社長が30日、記者会見で明らかにしました。
人口減少などで地方鉄道を取り巻く環境が厳しさを増す中、鹿児島県の指宿枕崎線のうち、指宿駅と枕崎駅の区間について、県や沿線の自治体と将来の地域公共交通のあり方を議論したいとしています。
会社によりますと、この区間は1日に平均何人運んだかを示す昨年度の「輸送密度」が220人にとどまり、この30年余りで77%減少したということです。
地方鉄道を巡っては、そのあり方を検討する協議会を国が設置できるようにする法律が先月10月に施行されました。
会社は、「今回の発表はこの法律に基づく手続きではない」としていますが、「法律の趣旨のとおり、存続か廃止かの前提を置かず、未来志向で議論したい」と説明し、今後、自治体側に働きかけを行っていく方針です。
法律の施行後、JR九州が具体的な路線名をあげて地域と議論したい意向を明らかにしたのは初めてです。
JR九州の古宮洋二社長は記者会見で、「大量輸送機関としての鉄道の特性が生かせていない線区は、これまでのような取り組みにとどまらず、将来を見据えた議論を行っていくことが必要だ」と述べました。
その上で、今後の進め方については、「スケジュールとしては今のところ、ここまでというのを決めて行うとは思っていない。時間がかかるものかと思うが、あまり時間をかけることも好ましくないと思う」と述べ、自治体側と問題意識を共有しながら、なるべく速やかに議論を深めていきたいという考えを示しました。