過労死防止でシンポジウム 遺族が過重労働にならない環境訴え

過労やパワハラなどの労働問題で命が失われることを防ごうと2日、福岡市でシンポジウムが開かれ、過労死で息子を亡くした女性が「過労死は誰の身に起きても不思議ではない。企業は従業員の働き方に気を配り、過重労働にならない環境を整備してほしい」と訴えました。
このシンポジウムは、11月の過労死等防止啓発月間にあわせて厚生労働省が「過労死を考える家族の会」などと協力して福岡市で開きました。
シンポジウムでは6年前に息子を過労死で亡くした川浪晴美さん(69)がみずからの体験を話しました。
川浪さんは、新卒で入社した会社で配送業務などを担当していた息子が、早朝から深夜まで長時間労働を続けていたことや上司に何度も退職を申し出ても受け入れられず帯状ほう疹や睡眠障害などに苦しみながら働いたあとに25歳で亡くなった経緯を語り、悲しみや悔しさに打ちひしがれた心境を語りました。
また、息子が「みんな残業代をもらっていないけど、遅くまで仕事をしている。自分だけ早く帰れない」と話していたことを紹介し、「新卒の若者は自分の会社の働き方がすべてだと錯覚して一生懸命、社会人としての責任を全うしようとする。企業の労務管理に携わる人は、若者の働き方にもっと気を配ってほしい」と呼びかけました。
そして「過労死は誰の身に起きても不思議ではない。忍耐強く弱音を吐けない人。自分より他人を優先する優しい人は大勢います。企業は従業員の命を大切に考え、過重労働にならない業務体制や環境を整備してほしい」と訴えました。