「レガシーピアノ」修復で演奏会 巨匠が演奏し内部にサイン

かつて世界的ピアニストたちが演奏し、内部に多くのサインが残された1台の古いピアノが修復され、費用を寄付した市民などを招いて記念の演奏会が福岡市で開かれました。
このピアノは1963年に開館した福岡市民会館で20年近く使われヴィルヘルム・ケンプや、アルトゥール・ルービンシュタインといった巨匠たちが演奏し、内部には40人のサインが残されています。
その後、老朽化で使われなくなっていましたが、このピアノを「レガシーピアノ」として復活させようと地元企業や市で作る実行委員会がクラウドファンディングや企業などからの寄付で2300万円を集め、このほど修復が完了しました。
8日、福岡市民会館で記念の演奏会が開かれ、日本を代表するピアニストの仲道郁代さんなどが巨匠たちのエピソードを語りながらベートーヴェンなどの名曲を披露しました。
また、このピアノを次の世代にも弾き続けてもらおうと、仲道さんと地元の小学生の連弾による演奏も披露されました。
演奏を聴いた50代の男性は「歴史を感じながら演奏を聴き心に響きました。ピアノがこの先もいろんな人に演奏され、歴史が刻まれていくことをうれしく思います」と話していました。
演奏した仲道さんは、「市民の方々の思いでピアノを復元したことが素晴らしいですし、その思いがこれからの世代につながっていくことを願いながら演奏しました。福岡が培ってきた音楽文化のシンボルになると思います」と話していました。
「レガシーピアノ」は今後、福岡市美術館に収蔵され、定期的に演奏会などで活用されるということです。