【解説】大任町めぐる3つの問題 共通点は「情報公開」

大任町をめぐっては、これまでニュースの中でも何度かお伝えしていますが、複数の問題が起きているため、整理してお伝えします。
大任町をめぐっては、大きく3つの問題が起きています。
共通するのは、いずれも「情報公開」に関係している点です。
【漏えい疑惑】
1つ目が「情報公開請求情報の漏えい疑惑」です。
おととし6月、福岡市の男性が田川市と大任町に対して、公共工事などに関する情報公開請求をしたところ、翌日に福岡県選出で自民党の国会議員の男性秘書の電話番号から連絡があり「なかったことにしてほしい」などと請求を取り下げるよう求められたものです。
情報公開の情報が外部に漏えいした可能性が指摘されていますが、大任町は「情報公開請求は適切に処理している」としています。
【情報公開限定】
2つ目が大任町の情報公開条例についてです。
おととし7月、大任町が公共工事の入札結果を一方的に非公開にした上で、9月には情報公開条例を改正し、それまで誰でもできていた情報公開請求できる対象を「町民」などに限定した問題です。
町は改正の理由について「犯罪予防のため」などと説明していました。
入札結果の非公開は国から是正を求められたため、ことし4月からは公開するようになりましたが、情報公開請求できる対象の制限は続き、町民からも批判があがっていました。
25日の条例改正で、この問題は解消した形です。
【圧力発言】
そして、ことし新たに持ち上がったのが大任町の永原町長による田川市の村上市長への圧力とみられる発言です。
行政のトップが別の自治体のトップを刑事告訴する異例の事態に至っています。
そもそも問題の発端は大任町につくるこちらの新しい広域ゴミ処理施設の建設です。
ゴミ処理施設はこれまでは主にそれぞれの自治体で運営していましたが、老朽化などで建て替えることになり、行政の効率化のため、大任町や田川市など8つの市町村がつくる組合で共同でつくることになりました。
その際、施設の受け入れを表明したのが大任町で、組合長は大任町の永原町長が務めています。
その他の自治体は負担金を支払い、大任町に委託する形で工事が行われています。
公表されている建設費は総額で300億円を超えていて、来年度中までの完成が予定されています。
整備工事に関する公文書をめぐって、大任町と田川市の間で対立が起きています。
公文書は大任町が管理していますが、用地買収にかかる資料など事業費の内訳がわかる文書がほかの自治体に十分に共有されていないのです。
他の自治体からすると、自分たちが支払ったお金がどう使われているかわからないということになっています。
大任町は「事務の委託」を受けているので建設に関する事業が適切に行われているかのチェックは大任町で行っており、必要な説明は行っていると説明しています。
こうした中で去年12月に、田川市が建設費の積算根拠などの情報を求めましたが、大任町はことし3月、「事業の審議は大任町議会の役割・責務だ」として、公開に応じない旨を文書で回答しました。
この対応に不満を持った田川市議会議員の一部が、ことし6月に大任町からの回答文書を開示するよう田川市に情報公開請求を行いました。
これを知った永原町長が田川市役所を訪れ、回答文書を開示しないよう村上市長に求めたというのが発言の経緯となります。