商業地の上昇率全国1位の福岡県 外資系高級ホテルが示す期待

商業地の上昇率が全国1位の福岡県。
国内だけでなく海外からも多くの人や資金が集まっています。
福岡市中心部にことし6月、外資系の高級ホテルがオープンしました。
世界規模で展開するこのホテルが九州に進出するのは初めて。
大阪と福岡の企業5社によるグループが開発した高層ビルの18階から24階に入っています。
博多湾を一望できる客室は、ひと部屋あたりの価格が税込みで1泊およそ10万円ですが、167ある客室のうち最も安い価格です。
22階には広さ188平方メートルのスイートルームがあります。
壁には九州伝統の織物や焼き物があしらわれ、ひと部屋あたりの価格は1泊250万円から。
それでも外国人旅行客を中心に毎週末はほぼ満室状態だということです。
福岡市には外国人の富裕層のほか、国際会議で訪れる要人などをもてなす高級ホテルが足りないと指摘されてきました。
ホテルは最大300人が利用できる宴会場も備えています。
「ザ・リッツ・カールトン福岡」のラドゥ・チェルニア総支配人は「海外から多くの人たちを呼び込めると思っている。福岡の魅力を、ホテルを通じて皆さんにお伝えしたい」と話していました。
一方、このホテルを巡っては、あるニュースが関係者に驚きをもって受け止められました。
オープンからわずか1週間余りで、ビルを開発した国内企業グループがホテルの収益を得る権利を売却したからです。
買い手はカナダに本社を置く不動産投資ファンドでした。
このファンドの日本法人の代表がNHKのインタビューに応じ、福岡の街の将来性に期待して取得したことを明らかにしました。
「ベントール・グリーンオーク日本法人」のダニエル・クリーブス社長は、「福岡はアジアの国々の“玄関口”だと認識していて、大きな成長が見込めると思う。外国人旅行客も増えているし、海外の投資家からの注目が集まっている」と述べました。
ファンドへの売却は、ビルの土地を所有する福岡市もファンド側から事業の収支計画の提示を受け、承諾したということです。
市は、個別のことには答えられないとする一方、「海外からの投資は福岡の存在感を高めることにつながる」とコメントし、引き続き企業誘致も含め、外資を呼び込んでいきたいとしています。