「カネミ油症」 患者などの健康状態を調べる検診実施

昭和40年代に西日本で相次いだ国内最大規模の食品公害「カネミ油症」について、患者などの健康状態を調べる検診が福岡市で行われました。
「カネミ油症」は昭和43年、北九州市のカネミ倉庫が製造した食用油にダイオキシン類などの有害物質が混入し、西日本で健康被害が相次いだ国内最大規模の食品公害です。
福岡県では福岡市や北九州市で患者の健康状態の調査や有効な治療法の解明などを目的とする検診が毎年行われていて、2日は福岡市で2回目の検診が行われました。
検診の対象は▼患者やその子どもや孫、▼被害を受けた可能性のある人などで、福岡県によりますと、血液中のダイオキシン濃度や骨の密度を調べる検査のほか、皮膚科や内科の診察などが行われたということです。
「カネミ油症」をめぐっては、患者の子どもや孫など次世代が健康被害を訴えても血液中のダイオキシンの濃度が基準より低いなどとして患者と認定されないケースが相次いでいます。
「カネミ油症被害者全国連絡会」の事務局長で自身も2世患者である三苫哲也さんは「自分自身の健康管理で不安なところもたくさんあるので受けに来た。きょうも3世の人もたくさんいたし、化学的・医学的にわからないとなっているところなので、症状がある人は検診を受けて、それが認定につながればいいと思う」と話していました。
また、子どもや孫とともに検診を受けに来た70代のカネミ油症患者の女性は「検診を受けたところで薬ができるわけでもないけど自分の体の現状を知っておきたいと思って受けている。国としては、私たちの世代が終わればそれでカネミ油症は終わりという感じかもしれないが、そうではなく、次世代まで認めてもらえれば、それが国のためにもなると思う」と話していました。