世界初!航空機向け超電導技術用いたモーター回転試験に成功

航空業界で脱炭素の取り組みが求められる中、従来のジェットエンジンの代わりに電力で動く航空機の開発が世界で進められています。
九州大学の研究グループは超電導技術を用いた新たなモーターの回転試験に世界で初めて成功しました。
グループでは次世代航空機の実現に向けた大きな成果だとしています。
九州大学の岩熊成卓教授らの研究グループが開発したのは、電気抵抗をゼロにする超電導の技術を用いたモーターです。
従来のモーターは、素材に鉄や銅線が用いられているため重く、航空機への搭載は困難ですが、超電導モーターは特殊な素材を使うことで軽量化が可能となり、同じ大きさで重さは10分の1、出力は2倍にできるということです。
超電導モーターは世界の大手航空機メーカーが研究を進めていますが、エネルギーの一部が熱として失われる「交流損失」という問題が開発の壁になっていました。
九州大学では、半世紀にわたって超電導技術の研究が行われていて、研究グループではこれまで蓄積してきた研究成果や技術を用いることで交流損失の問題をクリアし、モーター全体を超電導化したうえで実際に回転させる試験に成功しました。
今回開発したモーターの出力は400キロワット級ですが、出力を上げて複数のモーターを搭載すれば理論上、大型旅客機を飛ばすことが可能になるとしています。
岩熊教授は「超電動を使ったシステムの場合液体水素を燃料に使い、排出するものは水だけで基本的にゼロエミッションだ。航空機の分野からスタートして空飛ぶ車などにも使われればかなりの二酸化炭素排出量の削減につながっていくだろうと考えている」と話しています。