「安保関連法は憲法違反」訴訟 2審の福岡高裁も訴え退ける

集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法は憲法9条に違反するなどと長崎県の被爆者らが国を訴えた裁判で、2審の福岡高等裁判所は憲法判断を示さず、1審に続いて訴えを退けました。
8年前の平成27年に成立した安全保障関連法について長崎県の被爆者や被爆2世など110人は、憲法9条などに違反し、憲法で保障された平和に生きる権利が侵害され精神的苦痛を受けたなどと主張して国に賠償を求めていました。
1審の長崎地方裁判所は令和3年7月、被爆者らが精神的苦痛を受けたことを認定した一方、安全保障関連法が憲法に適合するかどうか判断を示さずに訴えを退け、原告側が控訴していました。
27日の2審の判決で福岡高等裁判所は1審と同様に「裁判所は具体的事件を離れて抽象的に政府や国会の行った行為などの違憲、違法について判断する権限を有しない」として憲法判断を示しませんでした。
その上で「安全保障関連法の成立によって不安や恐怖の念を抱いたとしても、損害賠償の対象となるような法的利益の侵害があったとはいえない」として、1審に続いて訴えを退けました。
原告側の弁護団によりますと、同様の裁判は全国で25件起こされ、これまでの1審と2審の判決はいずれも憲法判断を示さず原告側の訴えを退けています。
判決のあと原告側の弁護団は上告する方針を示しました。