カネミ油症患者の子どもなど 口唇口蓋裂の発生率高い傾向 

昭和40年代に西日本で相次いだ国内最大規模の食品公害「カネミ油症」について、厚生労働省の研究班が患者の子どもなど次世代の健康への影響を初めて調査した結果、上唇や上あごが裂けた状態で生まれてくる「口唇口蓋裂」の発生率が一般と比べて高い傾向にあることがわかりました。
カネミ油症は、昭和40年代に北九州市のカネミ倉庫が製造した食用油にダイオキシンなど有害な化学物質が混入し、西日本で皮膚の異常やけん怠感などの健康被害が相次いだ国内最大規模の食品公害です。
有効な治療法はなく、ことし3月末時点で2370人が患者と認定されています。
患者団体からの要望を受けて、医師などで作る厚生労働省の研究班は患者の子どもなど次世代の健康への影響について初めての調査を行い、6月23日、福岡市で開かれた関係者の会合で結果の一部を明らかにしました。
それによりますと、アンケート調査に回答した次世代の292人のうち、およそ1%にあたる3人に「口唇口蓋裂」が確認され、発生率が一般と比べて高い傾向にあることがわかったということです。
また、およそ4割が患者本人と同じようにけん怠感や頭痛を訴えたということです。
患者の次世代をめぐっては、健康被害を訴えても、血液中のダイオキシンの濃度が基準より低いなどとして患者と認定されないケースが相次いでいて、患者団体は基準の見直しを求めています。
調査結果を受けて厚生労働省は「カネミ油症との関連についてさらに分析を進め、今後、ある程度データがまとまった時点で、見直しが必要かどうか検討する」としています。
「カネミ油症被害者全国連絡会」の事務局長を務める、福岡市東区の三苫哲也さんは「次世代への影響が明らかになったことを前向きにとらえている。引き続き基準の見直しに向けて働きかけていきたい」と話しています。