福岡のベンチャー企業が開発した人工衛星打ち上げ成功

福岡の技術を結集した人工衛星、打ち上げ成功です。
福岡市のベンチャー企業が県内の町工場などと開発した小型人工衛星が13日、アメリカで打ち上げられ、予定の軌道に投入されました。
今後、36基まで増やし、災害時の被害の把握などに活用する計画です。
福岡市の宇宙ベンチャー企業「QPS研究所」が開発した小型人工衛星を載せたロケット。
日本時間の13日午前6時35分にアメリカ・カリフォルニア州から打ち上げられました。
搭載されている衛星「アマテルスリー」はマイクロ波を用いて高精細な画像を撮影することが可能です。
久留米市の町工場など、北部九州を中心とした25社以上の技術を結集して開発されました。
衛星は、去年10月、日本の小型ロケット「イプシロン」6号機に搭載されていましたが、打ち上げは失敗。
リベンジとなった13日、福岡市のパブリック・ビューイングの会場には「福岡発の技術で宇宙へ」というパネルが設置され、開発に関わった各社の担当者らおよそ30人が集まって打ち上げの様子を見守りました。
そして、ロケットの発射から1時間20分後、アマテルスリーは予定の軌道に投入され、打ち上げは成功。
会場では大きな拍手が沸き起こりました。
この衛星は、2025年以降、36基体制で運用する予定の最初の1基で、10分ごとに特定の場所を撮影することで災害時の被害の迅速な把握に役立てるほか、ダムや送電線の鉄塔などインフラに異常がないかの監視にも活用する計画です。
QPS研究所の大西俊輔社長は「打ち上げ成功はうれしいですが、ここからが本番なので安心と緊張感が半々です。衛星をたくさん打ち上げて九州の宇宙産業の発展につなげていきたい」と話していました。
また、共同創業者のひとりで、長年、宇宙開発を研究してきた八坂哲雄九州大学名誉教授は「ここまで来られたのは私にとって驚異です。協力会社のみなさんと一緒に強い気持ちを持って協力し、開発を進める体制ができたことが一番の力だと思っています」