出発遅れて福岡空港に間に合わず北九州空港に初めて代替着陸

11日夜、日本航空の羽田発福岡行きの便がエンジンの不具合などのため出発が大幅に遅れて福岡空港の運用時間内に着陸できなくなり、北九州空港に着陸しました。
福岡空港の運用時間終了に伴う北九州空港への代替着陸は、初めてだということです。
日本航空によりますと、11日夜7時前、羽田発福岡行きの便がエンジンの不具合のため機体を変更することになり出発時間がおよそ3時間遅れました。
このため福岡空港には午後10時までの運用時間内に到着できなくなり目的地を北九州空港に変更し、午後11時すぎに着陸しました。
福岡空港をめぐってはことし2月に同じ日本航空の旅客機が運用時間内に着陸できず羽田空港に引き返したことを受けて、運用時間終了後は24時間運用の北九州空港に着陸できるよう調整が進められていました。
日本航空によりますと、福岡空港の運用時間終了に伴う北九州空港への代替着陸は、今回が初めてだということです。
乗客280人のうちほとんどは日本航空が手配したバス5台に分乗して北九州空港から福岡市に向かったということです。
博多駅にたどり着いた福岡市の大学生は、「午後10時以降、福岡空港に到着できないのは、住宅街なので仕方ないと思う。大学の授業があるので帰ることができて良かった」と話していました。
博多駅から2キロほどと市街地に近い福岡空港は周辺に住宅地も多く、騒音問題で平成6年には国に賠償を命じる判決も出されたほか、国は、現在も移転補償や住宅の防音工事の費用を助成しています。
騒音対策として離着陸の時間は、原則午前7時から午後10時までに限定されていて、悪天候の場合など緊急時には午後10時を過ぎた着陸も認められますが、航空会社の事情の場合は認められていません。
ことし2月には福岡空港上空まで到達していた日本航空の旅客機が門限を超えたため着陸許可が下りずに深夜に羽田まで引き返したほか、全日空とスカイマークでもことし1月に同様の事例がそれぞれ1件起きています。
福岡空港の「門限」に間に合わない場合に北九州空港を代替空港として利用できるのは、いまのところ日本航空とスターフライヤーに限られています。
全日空とスカイマークは、北九州空港に就航していないため手荷物の積み降ろしなどを行う「グランドハンドリング」のスタッフや、機体の整備士がおらず、遅れに伴う北九州空港への目的地変更はできないということです。
両社は出発地で乗客の搭乗を早めるなどして、定時出発を徹底するとしています。
日本航空の元機長で航空評論家の小林宏之さんは、「航空会社は門限に間に合うよう努力すべき」としたうえで、利用者の負担や出発地に戻る燃料など総合的に考えれば、10分から15分の遅れを認める柔軟な運用を検討してもよいのではないかと指摘します。
小林さんは、「現在の飛行機は、20年から30年前の飛行機に比べて騒音レベルも下がっている。福岡をはじめ、九州の経済発展のためにも、柔軟な運用について地元住民などと協議を進めることも必要ではないか」と話しています。
一方、空港の運営会社「福岡国際空港」の永竿哲哉社長はことし3月の会見で「街なかの空港の歴史・環境を踏まえたルールで行っている。引き続き、従来通りの運用を行っていきたい」と述べています。
また、福岡県空港事業課は「運用時間については、空港の運営会社が決めることであり、見直しを求めることは検討していない」としています。