来年度発行20年ぶりに全面刷新の新紙幣 日銀福岡支店で公開

来年度、日本の紙幣が20年ぶりに全面刷新されるのを前に、日銀福岡支店が22日新しい紙幣を報道陣に公開しました。
日銀福岡支店で公開されたのは、3種類の新紙幣です。
このうち、一万円札の肖像画は、「近代日本経済の父」と呼ばれ、明治から昭和にかけて産業界をリードした渋沢栄一です。
一万円の肖像画が変更されるのは1984年に聖徳太子から福沢諭吉になって以来、40年ぶりです。
裏面には東京駅の駅舎が描かれています。
五千円札には、日本で最初の女子留学生としてアメリカで学び、津田塾大学を創立した津田梅子の肖像が使われ、裏面には藤の花が描かれています。
千円札には、熊本県小国町出身で、近代医学の礎を築いた細菌学者の北里柴三郎の肖像が使われています。
裏面には江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の代表作、「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」が描かれています。
日銀が紙幣を全面刷新するのは20年ぶりです。
また、今回の新紙幣は、新たな偽造防止対策がとられているのも特徴です。
見る角度を変えると肖像画の向きが変わる3Dのホログラム技術が世界で初めて紙幣に導入されています。
また、コピー機では再現できないほどの小さな文字もちりばめているということです。
さらに、ユニバーサルデザインとして数字のサイズを大きくしたほか、凹凸を施すことで指で触って紙幣の種類を識別できるようしたとしています。
新紙幣の発行・流通は来年度の上半期で、22日公開した紙幣は日銀福岡支店に事前に予約すれば支店の2階の展示室で見学することができます。
一方、国内ではスマホアプリなどの普及でキャッシュレス決済の比率が36%に高まっていますが、政府は将来的にこの比率を80%まで引き上げる目標を掲げています。
日銀本店の発券局での勤務経験もある濱田秀夫支店長は「キャッシュレスの中でもお札に対するニーズは底堅く、いまも重要な経済活動のインフラだ。もしかしたらキャッシュレスが普及するとお札の役割も減っていくかもしれないが、まだまだ必要だと思う。そのときのお金の使われ方を踏まえて検討されていく」と話していました。