西鉄・JR九州 人流回復で収益大幅増 コロナ禍の苦境脱出か

西鉄・JR九州 人流回復で収益大幅増 コロナ禍の苦境脱出か

コロナ禍で苦しんだ鉄道会社の業績にも、長い“トンネル”からの出口が見えてきました。
西鉄とJR九州は11日、昨年度1年間の決算を発表し、人流の回復を背景に収益が大幅に増加しました。
西鉄は11日、ことし3月までの1年間の決算を発表し、売り上げが4946億円と前の年より15.8%増え、本業のもうけを示す営業利益も261億円と、2.5倍に拡大し、いずれも過去最高となりました。
売り上げの半分近くを占める物流事業が大きく伸びた上、コロナ禍の行動制限の緩和などを受けて運輸事業が3年ぶりに黒字転換したためです。
一方、JR九州も売り上げが3832億円と前の年より16.3%増え、営業利益は343億円と、8.7倍に拡大しました。
観光や旅行の需要が回復する中、特急料金の値上げも加わって運輸事業の収益が改善したほか、ホテル事業も大きく伸びたことが要因です。
ただ、両社とも、加速する人口減少やコロナ禍で定着したリモートワークなどを受けて、今後も鉄道やバスの利用がコロナ禍前に戻るという見通しは示しませんでした。
運輸事業についてはコスト削減などを進める一方で、ホテルや不動産など運輸以外の事業も強化していく方針を示しました。
西鉄の林田社長は「バスの利用はコロナ前の8割、鉄道も9割弱で、観光需要が積み上がっても日常使いの戻りがライフスタイルや働き方の変化で戻ってこない。ホテルはほぼコロナ前の水準に戻っていて、今後のグループの収益に貢献してくれると思う」と述べました。
また、JR九州の古宮社長は「鉄道の収入は大きく伸びない。2030年度は鉄道が収益全体の4分の1になる見込みで不動産事業とか建設事業などまわりの事業を強化する。逆にそのようにしないと大きな成長はない」と述べました。