ゴール倒れ児童死亡 大川市に3600万円余 賠償命じる判決

福岡県大川市の小学校で体育の授業中にフットサルのゴールポストが倒れ小学4年生の児童が死亡した事故をめぐり遺族が賠償を求めた裁判で、福岡地方裁判所久留米支部はゴールポストの点検や固定をしていなかった学校側の過失を認め、大川市に対し3600万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
平成29年1月、福岡県大川市の市立川口小学校で体育の授業中にフットサルのゴールポストが倒れ小学4年生の男子児童(当時10歳)がゴールポストの下敷きになり、死亡しました。
この事故をめぐり、両親が安全管理を怠ったためだとして大川市に対し4300万円あまりの賠償を求める訴えを起こしていました。
きょうの判決で、福岡地方裁判所久留米支部の立川毅裁判長は「ゴールポストの転倒による死亡事故がこの事故の前にもあり、文部科学省も安全点検や事故防止の措置に十分に留意することなどを通知していて校長はゴールポストの危険性を認識していた」と指摘しました。
その上で「校長は教員とともにゴールポストの固定状況を点検し、土台のロープとくいを結ぶなどして固定するべきだったのにしておらず、注意義務を怠った」として学校側の過失を認め、大川市に対し3600万円あまりの支払いを命じました。
また判決は事故の原因の解明や再発防止などを目的に市が設置した安全調査委員会について「事故の発生後3週間の間、調査委員会の設置に関してその目的や構成が遺族に知らされず、少なくとも遺族が理解できる程度の十分な説明はなかった」と指摘しました。
この事故では教師や校長など6人が業務上過失致死の疑いで書類送検され、その後、不起訴となっています。
判決後、亡くなった児童の父親が弁護士と会見に臨み、コメントを発表しました。
コメントの中で父親は「その日から時間は止まっている。本当に二度とこの事故を含めて同じようなことを起こしてはならないし、こんな思いを誰にもしてほしくない」と述べ再発防止を強く求めています。
その上で調査委員会のあり方について「事後報告ばかりだった」と指摘したうえで、「これから先、二度とこうした事故が起こらないようにするために、私たちは誰と歩んでいけばいいのだろうか、もう市は助けてくれないのかなと思ってしまったのが正直な気持ちです」と述べました。
大川市長と大川市教育長はコメントを出し、判決について「判決を真摯に受け止めております。判決文の詳細について精査できていないため、具体的な対応については今後、検討いたします。失われた命は戻らないことを改めて深く心に刻み、今後とも学校が安全安心な場所であるよう取り組んでまいります」としています。
学校で事件や事故が起きた場合に見舞い金を支給する独立行政法人日本スポーツ振興センターのデータベースをもとに、名古屋大学の内田良准教授が調査した結果によりますと、学校で起きたサッカーやハンドボールのゴールによって子どもが死亡したり後遺障害が残ったりするなどした事故は、平成14年度から令和2年度までの19年間で少なくとも21件にのぼるということです。
このうち平成16年に静岡市の市立中学校の校庭で中学3年生の男子生徒が、平成25年には千葉県茂原市の県立高校のグラウンドで高校3年生の男子生徒が、それぞれサッカーゴールの下敷きになって死亡しています。
5年前の大川市での転倒事故の検証や再発防止策をまとめた市の安全調査報告書には「過去の同様の事故の教訓が生かされていないことが明らかになった。大切なことは今回の事故を踏まえて各学校の教職員が当事者意識を持って日々の学校生活を営むことだ」と書かれています。