

青年・清盛と母・祇園女御との確執から物語が始まる「新・平家物語」。清盛を演じたのは大河ドラマ初出演で初主演となった仲代達矢だ。仲代は「清盛は悪党だという印象があったので、内心、どうかなと思ったんですよ」と、当時を振り返る。しかし「新・平家物語」に描かれた清盛像は、吉川英治の原作同様、非常に人間的なものだった。
それまでのイメージと異なる清盛の優しさが克明に描かれる一方、体制に抵抗する反逆精神がいきいきと表現され、仲代自身「そこに共感をおぼえ、心ひかれました」と語っている。
破天荒な青年時代から、平家一門が隆盛を極め、やがて世を去るまでの多感で多情な人間清盛が描かれた。
今回の「平清盛」はオリジナル作品。白河法皇の御落胤(ごらくいん)である清盛が、平氏の棟梁・忠盛に引取られるところからドラマは始まる。複雑な出生ゆえに、「無頼」な生き方を強いられた清盛。反骨精神に富み、先見的な発想を持つ彼が、武士の世へと変えていく姿をパワフルに描いていく。
清盛を演じる松山ケンイチは、「平安のゴッドファーザーという言葉にすごく興味がありました」と主演発表会見で語っていた。差別された身分からはい上がり巨大な平家ファミリーの頂点、武士として初めて日本のトップに君臨する清盛。武士の棟梁を演じ切るために、半年以上かけて馬術と弓術を完璧に身につけ、吹き替えなしで流鏑馬(やぶさめ)シーンにも挑戦した。
貴族社会から武家社会への変換期となった混とんとした時代に、さっそうと現れたエネルギッシュなヒーローの登場だ。
大河ドラマ10作目、テレビ放送20周年という節目にあたった「新・平家物語」。そこでテレビ草創期の原点に帰るという意味も込めて、ロケは第1回放送の冒頭シーンとなる厳島神社のみ。あとはすべてスタジオ収録となった。それだけにセットには力を入れた。スタジオに大型の二重アーチを組んだ五条大橋、屋形の中が二畳強という牛車、海上で繰り広げられる船戦のための船など、大がかりで豪華なセットが登場した。
また主要な役だけでも30人を超えるという豪華キャストも注目を集めた。主役級女優もずらりと登場、衣装の十二単衣(ひとえ)には破格の制作費がかけられた。
武士が貴族たちに差別されていた時代、武士の新興勢力・平氏のもとで育てられた少年・清盛が、海賊退治で名をはせ、やがて瀬戸内海の海賊を束ねて武士の王となり、日本の覇者となっていく過程をじっくりと描いていく。
前半の見どころの一つが、平氏軍と海賊が死闘を繰り広げるシーン。12日間にわたり全長22メートルの宋船をはじめ、中型船など計8隻を使用して大河史上最大規模の海上ロケが行われた。
また、「龍馬伝」に続いて人物デザイン監修を取り入れたことも注目だ。「たくましい平安」をコンセプトに、清盛と同時代を生きた創世記の武士たち、平安王朝の貴族や女性たちなど、平安時代末期の人々の生きざまをリアルに刻み込んでいく。
栄華を極めた清盛が出家して入道となるシーンに合わせて、仲代達矢は実際に頭をそってしまった。当時としては異例のことで、収録前日に共演者立ち会いのもとで断髪式が行われた。「役者のかがみ」ともいわれたが、仲代自身は「かつらでは不自然だと思ったので」と淡々と語っていた。
主演の松山ケンイチは2012年の大河ドラマが「平清盛」だと知って、どんな役でもよいので出演したいと思ったそうだ。実際、マネージャーを通して番組に問い合わせることまでしたとか。実は、番組側でも主演候補として彼の名前があがっていたというのだから驚きだ。双方の思いが見事に結実して“マツケン清盛”が誕生した。











