ストーリーサッカー

サッカー・巻誠一郎 「引退試合に込めた故郷・熊本への思い」

2020-01-21 午後 0:00

自ら企画し行った引退試合

1万人を超える観客が集まった1月13日の引退試合。小笠原満男さん、楢﨑正剛さん、久保竜彦さん、岡田武史さんなど日本サッカーを引っ張ってきたレジェンドが一堂に会しました。

また歌手の大黒摩季さんやナオト・インティライミさんも来場して歌を披露し、熊本の会場を盛り上げました。

 

 

企画したのは巻さん自身。選手や歌手に協力を呼びかけ、資金集めや会場設営までみずから行いました。

 

巻誠一郎さん

僕の引退試合ですけど、来てもらった皆さんに笑顔になって帰ってもらうのがコンセプトです。

熊本のみなさんの笑顔が積み重なって、前向きになってよりよい熊本を作っていけたらいいのかな。

変わり果てた故郷 原点となった熊本地震

 

原点となったのは2016年の熊本地震でした。最大震度7の大地震で、およそ18万人が避難を余儀なくされ、当時ロアッソ熊本の選手だった巻さんも被災。変わり果てたふるさとの姿を目の当たりにしたのです。

そのショックを当時のインタビューで巻さんは涙ながらに語っていました。

 

巻誠一郎さん

僕が大好きだった熊本の町だったりみんなの笑顔が失われていく。

熊本のために何かをしたい。

 

 

巻さんは地震の直後から300カ所以上の避難所を訪問。支援物資を届けたり、子どもたちとサッカーをするなど、ふるさとを勇気づけようと活動してきました。

引退試合に向け、巻さんが特に気に掛けている人たちがいました。地震で大きな被害を受けた南阿蘇村立野地区の人たちです。

 

 

地震から4年がたとうとしている今(2020年1月現在)も、地区にかかっていた阿蘇大橋は開通しておらず、鉄道も完全には復旧していません。住民の多くは地区に戻れないままです。

立野地区の人たち

やっぱり帰れるものなら帰りたい。

でも交通の便が元に戻っていなくて帰れない。

 

 

地震の直後から住民と一緒にサッカーするなど交流してきた巻さん。引退試合で笑顔になってほしいとチケットを直接手渡しました。

引退試合で伝えたかった思い

そして迎えた引退試合。立野地区の人たちはスタンドで見つめました。巻さんは何回もチャンスを迎え、貪欲にゴールを狙い続けます。

サッカーを通して、伝えたい思いがありました。

 

巻誠一郎さん

外しても、外しても、何度もチャレンジして、人生と同じように諦めずチャレンジする。

 

熊本への思いを胸にプレーした90分間。その姿に、立野地区の住民たちも元気をもらっていました。

立野地区の人たち

子どもたち「おもしろかった!」

母親「感動です。感動しました、元気にもなるし、自分も挑戦しなきゃいけないなって思います」

 

みんなに笑顔になってもらうのがこの試合の目的だと語っていた巻さん。試合後、巻さんを見つめる観客たちはみな、笑顔でした。

 

 

巻誠一郎さん

すごくいい笑顔で試合が終わったあとに手を振っていただいて胸が熱くなりました。

準備がつらかったとか、あまり寝てないな、とかそういう思いが全部吹っ飛んだというか、子どもたちの笑顔が見られてよかったな。

 

故郷・熊本の人たちに、サッカー人生をささげてきた巻さん。試合後に行われた会見では、次に目指すものを語りました。

 

巻誠一郎さん

誰かのためとか誰かの笑顔のためだったら自分でも信じられないような、こんなことまでできるんだってくらいアグレッシブになれるしパワーを発揮できるんですね。

なので、これからのステージは誰かのためになること、誰か目の前の人が困っていたら助けてあげられるような、そういうことを中心にやりたいな。

 

巻さんは今後、子どもの夢をサポートしたり、障害がある人が仕事に就く手助けをしたりして、ふるさと熊本を支えていきたいということです。

浅井莉奈

スポーツ情報番組部 ディレクター
高校時代はハンドボール、大学時代はラクロスに打ち込む。大学時代の専攻は食品科学。これまで社会人野球、ラクロス、ラグビーなどを取材。

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