ストーリー相撲

目指せ大関 朝乃山に刈屋解説委員が聞く

2020-03-04 午後 0:00

 

大相撲春場所は新型コロナウイルス蔓延の影響で、観客を入れずに実施することが決まりました。ウイルス対策に関心が集まっていますが、土俵では朝乃山の大関昇進がなるかが一番の注目です。大相撲取材でおなじみのNHKの刈屋富士雄解説委員が、朝乃山に大関昇進に挑む心構えなどを聞きました。

 

大関1人は昇進のチャンス「ものにしたいです」

大関昇進を目指す朝乃山(右)とNHK刈屋解説委員

 

 

刈屋:春場所はいよいよ大関昇進が懸かる場所となりますがその辺の気持ちというか意識はありますか。

 

朝乃山:本人が意識したくないといっても、周りの関係者や応援してくれる人たちは、つい口から出ちゃうんで。そういう立場に来ているんだなと思いますね。

 

刈屋:番付は大関が1人しかいない。空いていて、ここに上がってくださいと言わんばかりですね(笑)。

 

朝乃山:そうですね。

 

刈屋:番付は生き物だとよく言って、同じような実績の星があっても、大関が4人や3人いたら、たぶん厳しくなっちゃうんですよね。

 

朝乃山:(大関に)なれないですね。

 

刈屋:ところが1人しかいないとなると協会としてももう1人欲しいし、相撲ファンも求めるし。そうなるとこれは大きなチャンス。

 

朝乃山:そうですね。1人大関というのはなかなか見たことがないので(注:38年ぶり)、空いているという表現はおかしいですけれど、チャンスかもしれない。ものにしたいですね。

 

朝乃山

 

優勝を狙う意識はある、てっぺんを狙わないといけない

刈屋解説委員

 

 

刈屋:それと同時に世代交代の波は肌で感じませんか。

 

朝乃山:取っているほうはちょっと分からないですね。世間ではそう言われていますけれど、若い人たちや同世代が横綱・大関をもっと倒さないと「世代交代」とは自分の中でも思えないですよね。

 

刈屋:去年からと誰にでも優勝のチャンスが巡ってきている。2、3場所に1回巡ってくる、それはありますでしょう。

 

朝乃山:それはあります。初場所も横綱2人が休場されて、誰が優勝してもおかしくなかった。誰にもチャンスは巡ってくるので。

 

刈屋:それは自分もその中で優勝狙うぞと意識があるのですか。

 

朝乃山:あります。

 

刈屋:同年代のほかの力士たちもみんなそう思っているなというのも。

 

朝乃山:みんなそう思っていると思います。優勝したい、これはチャンスだ、という思いはあります。

 

朝乃山

 

 

刈屋:関取が去年の夏場所に優勝したあと、初場所中に亡くなった近畿大の伊東監督(朝乃山の大学での指導者)とお会いしたときに、「ようやく教え子から横綱が出ますね」って言ったんですよ。

 

朝乃山:そうですか。

 

刈屋:そうしたら否定するどころか「そうなってくれるといいな」と。まだ大関にもなっていないのに、ニコニコしながらうなずいてね。「そんなに遠くないですよね」と言ったら、「このままいってくれたら」とすごく期待していたんです。監督もそう言われてうれしかったんでしょうね。見せたかったね。横綱になるところを。

 

朝乃山:横綱の前に大関にならないと立場がないんで、ヘヘヘ。

 

刈屋:もう横綱にならないとだめ。大関とか言っていないで横綱ですよ。

 

朝乃山:てっぺん目指さないといけないですね。

 

刈屋:(富山商業高校時代の指導者で平成29年に亡くなった)浦山さんとは、関取は、「富山のスーパースターになる」という約束をしていますしね。横綱になるには何が必要になってきますか。ああ、きょうは大関昇進を目指す話をしに来ているんだ(笑)。

 

朝乃山:うーん何が、もっと稽古を増やすとか筋トレ。そして場所で大事なのは精神面じゃないですかね。

 

近畿大学選手の大相撲入り会見で、朝乃山(左から2人目)と伊東勝人監督(右端)(平成27年12月24日・大阪府東大阪市近畿大学)

 

右四つの完成を目指して 年間最多勝はプレッシャー?

朝乃山は去年、55勝で年間最多勝(2019年11月・九州場所千秋楽)

 

 

刈屋:右四つで、この人の研究をしているという力士はありますか。

 

朝乃山:横綱白鵬関と栃ノ心関です。白鵬関は立ち合い低いですし、左の踏み込みが早い。それで左手もしっかり取れているので、引きつけて相手を起こして右を差す。スーッと取って、勝負が終わったという感じなんです。栃ノ心関はどこから見ても怪力。力強いので、取れなくても強引に振って上手を取って、力でねじ伏せるっていう感じです。タイプが違うので、この2人を見ます。でも見ていてもあまり分からなくて実戦ではうまくいかない。すごいなと思います。

 

刈屋:課題としているのは何ですか。

 

朝乃山:立ち合いを低く丸くいきたいですね。当たったら伸び上がってしまうことがあって、ためて我慢するように、当たって相手を起こして左上手を取りたいです。とりあえずしっかり一歩目は必ず当たりたいです。当たらないと始まらない。それで圧をかけながら左上手を取るなり、右を差すなりというのを磨いていきたいですね。後手に回るときは当たった瞬間にのけぞるので、背筋とかがもっと必要ですね。

 

刈屋:最後にうかがいますが、去年年間55勝で年間最多勝を取りました。これまで関脇以下で取ったのは、後の大横綱じゃないですか。

 

朝乃山:貴乃花さんと大鵬さん。

 

2人はははは。

 

刈屋:大関が1人しかいない番付。かなり年齢がいっている両横綱。こんなについている人は見たことがないですね。

 

朝乃山:貴乃花さんと大鵬さんは、年間最多勝を取った翌年には大関になっているんですね。すごいプレッシャーが「どん」と来ましたね。

 

刈屋:え?ラッキーと思わない。

 

朝乃山:ラッキーとは思わないですね(笑)。でもチャンスは大きいですよね。春場所はチャンスなのかなという思いはあります。

 

刈屋:間違いないです。そのチャンスの先、ことしは全部チャンスです。大関になり横綱になるね。だからことしから来年までの間に横綱にならないと。私が言うのは変だけれど、不思議なものでチャンスの年というのはそんなにないです。必ず次の力が伸びてくるから。ということで、きょうはチャンスに向かって前向きになっている朝乃山関の話をおうかがいしました。まるでプレッシャーを与えに来たみたいですね。

 

朝乃山:ははは。めちゃめちゃ与えられています。

刈屋富士雄解説委員

昭和58年NHK入局。アナウンサーとして大相撲をはじめオリンピック、陸上、フィギュアスケート、体操、バレーボール等の中継を担当。三つ子の父。

 

 

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