特集 カーリング女子 藤澤五月が語るロコ・ソラーレの"いま"

2020年カーリング日本選手権 女子決勝で中部電力に勝ち、4年ぶりの優勝を果たしたロコ・ソラーレ。
日本初の銅メダルを獲得したピョンチャンオリンピック後の2年間の歩み、そして今回の日本選手権について藤澤五月選手に聞きました。
2020年日本選手権 女子は4年ぶりにロコ・ソラーレが優勝
ピョンチャンオリンピックからの2年間
――ピョンチャンオリンピック後、どういうことを意識してやってきたのですか?
藤澤五月選手(以下、藤澤):ピョンチャンオリンピックを第一にやってきたので、終わった後のすぐのシーズンはちょっと休みたいっていう気持ちがまずメンタル的な部分でありました。日本のカーリングとしてもオリンピックのメダリストとして過ごすシーズンというのが初めてだったので、私たちもどう過ごしていいか、どういう風に次のシーズンを迎えるかっていうのが分からない。注目されているっていうのは分かっていたんですけど、一旦休憩したいっていうのがあったので、本来であれば秋ごろから海外遠征に行ってバンバン大会に出て鍛えてからシーズン後半を迎えるところを、(参加する大会の)ボリュームを減らしてスタートをゆっくりにするということを意識してやっていました。
2018年2月 ピョンチャンオリンピックでの歴史的な銅メダル
――そして今シーズンはガラッと変えて?
藤澤:今シーズンはしっかり国内の大会にも出て、“だいたい何大会に出てから日本選手権や世界選手権といった大事な大会に向かおうね”っていうのはきちんとチームで話しました。オリンピックが終わってからのシーズンと今シーズンとではすごく変えた部分があったと思います。
世界を制するために
――北京オリンピックに向けて、前回よりもっと上を目指していくと思いますが、世界を制するためには何が必要だと考えていますか?
藤澤:他のメンバーがどう考えているかわからないですけど、今は“北京オリンピックに向けてこういうことをやっています”というよりは、今の自分たちが世界一になるためには何が必要なのか、どんなことに取り組まなきゃいけないのかっていうのをしっかりと考えて、“今の自分たちと向き合う”っていうことを大事にしています。
――具体的にはどういうことですか?
藤澤:ピョンチャンオリンピックまでは、「どんなチームですか?」って聞かれたときに「氷の上でも笑顔で雰囲気がよくて、喜怒哀楽が出て…」っていうことは答えられたんですが、戦略的なことや得意なショットっていう部分で答えることは、私たちも正直出来なかったんですよね。そして、相手がどうこうよりもまずは自分たちがショットを決めるためにどうしなきゃいけないのかということがメインでした。
ですが、そこから一段上がって、作戦を意識する中で “自分たちはこれが得意なんだ、これが得意じゃないんだ”っていうのをまずは知り、それが分かったら“どうやったら常に良い状態でいられるんだろう”っていうのを模索し、それもだんだん分かるようになってきたら“さまざまな相手に対して、どうすれば自分たちの得意なスタイルに持っていけるのか”っていうのを考えるレベルになりました。それはここ2年で変わってきたのかなと思います。
カーリングはデータで戦う時代に
日本選手権決勝 中部電力戦での藤澤選手
藤澤:ピョンチャンオリンピックの頃からカーリングもデータをすごく重要視するようになってきて、コンピューターやAIを使ってアナリストの方が分析をするようになってきました。それこそ自分たちの得意不得意を数字で表すようになってきたり、逆にトップチームの得意不得意も数字で現れてきたり。他のスポーツではよくやっていることなので、カーリングは正直遅いんですけど…。作戦もデータに基づいて考えなければいけないということが、ここ数年で起こっているのかなと思います。
――試合中もデータを見たり?
藤澤:試合中までは見てないんですけど、昨シーズンのデータを見て“私たちはここが強い、ここが弱い”っていうことをコーチ陣と一緒に話し合いながらやってきました。
日本選手権を振り返って
4年ぶりの日本一に輝き喜ぶメンバー
――決勝はとてもいいゲームでしたが、今回の日本選手権を振り返るとどんな大会でしたか?
藤澤:メディアをはじめ、いろんな方が“日本の女子は4強”と言ってくださっていますが、今回の日本選手権は“他の3チームに対してどう戦うか”を今までで一番考えた大会でした。
――その “どう戦うか“を具体的には…。
藤澤:そうですね、ちょっと今はなかなか…具体的なことは言えないです(笑)
藤澤:日本のレベルが上がっていて、どのチームが勝ってもおかしくなかった日本選手権だったので、その中で勝ち切れたっていうのはすごく自信になっています。