特集 琴ノ若 偉大な祖父・元横綱の琴櫻と元関脇の父の背中を追いかけて

祖父は元横綱、父は元関脇。“相撲一家”に生まれたホープが初場所12日目で勝ち越しを決めた。
「この名に恥じぬよう精進していきたい」
前頭15枚目、佐渡ヶ嶽部屋に所属する23歳の琴ノ若。(琴ノ若傑太・まさひろ)しこ名は師匠で父の元関脇・琴ノ若と母方の祖父、元横綱・琴櫻(琴櫻傑將)から譲り受けた。
偉大な祖父と父のしこ名を胸に新入幕の去年の春場所では9勝を挙げ順調なスタートを切ったかと思われた。
(2020年春場所14日目 琴ノ若が錦木を破り、勝ち越し)
しかし、左ひざをケガするなど一時は十両に番付を下げた。去年の11月場所で幕内に復帰したが7勝8敗と惜しくも負け越し。今場所で大きく負け越せば2回目の十両陥落の可能性が出ていた。
安定した成績を目指し尊敬してやまない父と祖父の相撲を研究。さらに目の前の取組に集中し全力で臨むことを意識付けた。鋭い出足と力強い立ち合いで「猛牛」の異名をとった琴櫻のように。
12日目の霧馬山との一番。立ち合いで右を差し一気に前に出た。気持ちは祖父のように取口は師匠(父)譲りの四つ相撲。寄り切って納得の相撲で勝ち越した。
(初場所12日目 琴ノ若が霧馬山を破り勝ち越し)
「必死にがむしゃらに相撲取ることだけ考えていったら結果につながった。これからはいい相撲を取ってお客さんを喜ばせられるようにしたい」
将来は横綱に昇進し、祖父のしこ名で相撲を取りたいという琴ノ若。角界の最高位は強さを見せて土俵を締めるだけでなく、客を喜ばせ盛り上げていくことも使命だ。
「どんどん上に上がっていけると思うので。1場所1場所いい相撲を取る」
偉大な祖父と父の背中を追いかける期待の若手が新年最初の場所で好スタートをきった。
この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者
平成21年NHK入局 福岡県出身
長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。プロ野球を担当した後、現在はサッカー担当。