ストーリーパラスポーツ

200mを40秒!迫力のパラカヌー「ヴァー」とは?

2021-01-21 午後 06:00

前回のリオパラリンピックから正式競技になったパラカヌー。リオ大会では「カヤック」の1種目だけでしたが、東京大会から新種目「ヴァー」が追加されました!

 

今回は、そんなパラカヌーの基本情報とともに、まだ情報が少ない「ヴァー」の見どころをご紹介します。

そもそもパラカヌーってどんなスポーツ?

パラカヌーは、1人乗りの「艇(てい)」と呼ばれる船でこぎ進めるスポーツです。

 


選手は下半身に障害がある人で、体幹が使えるか、足でどれだけ踏ん張れるかによって、L1、L2、L3の3つのクラスに分かれています。

 


どのクラスも、競技者全員が一斉にスタートし、その着順で競うというとてもシンプルなルール。

 

 

使われる艇のタイプにより2種類の種目に分かれます。
1つは、細長い艇に乗り、水かきが両端についたパドルを使う「カヤック」。もう1つは、横に浮きがついた艇に乗り、水かきが片方だけについたパドルを使う新種目の「ヴァ―」。

その安定性は移動手段に使われていたほど!ハイテクなヴァー


新種目“ヴァ―”は、元々ポリネシア語で“小舟”という意味。昔、現地の人が島々の移動に使っていたんだとか。

 


そんなヴァーの艇は、本体の長さは最大7m30cm以内と決まっています。

 


最大の特徴である艇についている浮きは「アマ」といい、これには長さの規定は特にありませんが、2m50cm程度です。
実はこのアマが、艇の安定性を高める大事な役割を持っているんです。

 


例えば上の画像のように、船が左に傾いてもアマが浮きとなってバランスを取り、右に傾いてもアマが重りになって転覆を防いでくれるんです!素晴らしい!

 

ちなみにアマは船の左右どちらにつけてもOKです。

まるで水上の短距離走!200mの熾烈な戦い

ここからは、日本トップレベルの諏訪正晃(すわ まさあき)選手と一緒に競技の流れをざっくり解説!
諏訪選手は高校時代にスキーで転倒し、脊髄を損傷。障害が最も軽いクラスのヴァーに出場します。

 

 

戦いの舞台は、穏やかな川や湖などに設けられた200mの直線コース。

 


このコースをトップ選手はなんと40秒でこぎ切ります。まるで水上の短距離走!

 


選手たちは、艇の先端をスタート位置に合わせ、合図により同時にスタートします。

 


レース開始直後は、パドルを浅く水面に入れ、素早くこぎ、艇に勢いをつけることが勝利への第一歩!
そしてレース中盤からは、小刻みなストロークから大きなストロークにチェンジ。艇に勢いがついてきたら、パドルを深く入れて大きく水をかく方が速く進むのです。

 

自転車で例えると、走り出しはギアを軽くして足を速く回し、スピードがついてきたらギアを重くして足を強くゆっくり回すのと同じ仕組みです。

 

スタート時は、艇が止まっている状態から動き出すため、体重の軽い選手の方がスピードを出しやすく、中盤からは体重の重い選手の方が、勢いに乗った状態でさらに加速させるので有利になると言われています。

 


パドルのこぎ方は、左右に持ち替えて進めるこぎ方と、片側のみで進めるこぎ方の2種類。

 

どちらにもメリットがあり、前者は真っすぐ進みやすく、後者は持ち替えの時間ロスをなくせます。

 


諏訪選手の場合、左下半身の方が障害が軽いため、力の入る左側だけでこぎます。
このように、パラカヌーでは、自身の障害に合わせたこぎ方で、水をとらえ、いかにスピードに乗れるかが勝負のカギ!

 


ちなみに、左側のみでこぎ進めると、どうしても反対の右側に曲がる力がかかってしまうので「Jストローク」と呼ばれるこぎ方で、曲がってしまう力を補正しています!

 


具体的にどういうこぎ方かというと、艇と並行にこいできたパドル(①)をこぎ終わりで外側に打ち出します(②)。これにより、艇が右側に曲がる力を打ち消し、向きを補正する仕組みです。

一見シンプルに見えるパラカヌーですが、スタートダッシュやまっすぐ進むためのストロークなど、実は高度なテクニックが要求されるスポーツです。どの選手がどんなスタイルでレースを展開するか、ぜひ注目してみてください!

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