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特集 7連勝の大栄翔 「期待は頑張る気力になる」

相撲 2021年1月17日(日) 午前11:25

「おおっ・・・」「強すぎる・・・」「えぐいな・・・」

取組直後、国技館の報道陣が作業する部屋で次々に聞こえてきた。ふだんは黙々と仕事をする担当記者たち。大栄翔の一番を見て思わず声が出てしまったようだ。大栄翔は三大関と関脇と小結、ついに役力士7人全員を破った。

 

大相撲初場所7日目 大栄翔(左)と隆の勝(右)

 

7日目、関脇・隆の勝との一番も圧倒的、完勝だった。

「本当に力がついてきたんじゃないかと実感している」

 

 

初日から3日間で三大関を破っても「自信になる」という程度の控えめな発言を繰り返した大栄翔。この取組で確かな手応えを得たようだ。鋭い立ち合いで当たって相手の上体を起こし強烈な突き押しを3、4発。ほんの数秒で隆の勝を土俵の外に追いやった。

 

隆の勝(右)を押し出しで破った大栄翔

 

 

「集中してやれている」と役力士を全員倒し、ただ1人7連勝。今場所の迷いのない相撲を取り続けて白星を重ねれば本人も周囲も初優勝を意識してくるだろう。大栄翔は埼玉県朝霞市出身、地元出身力士の優勝はまだなく気持ちも徐々に高まってきているようだ。

「期待してもらっている部分も多い。そういう期待には応えたいし頑張る気力になる」

 

そうした一方で報道陣からの「朝霞市と言えば」という質問に対して「(長年暮らした)本田美奈子さんが有名なんじゃないですか。まだ顔じゃない(相撲用語で分不相応)です。そうなれるように頑張ります」と謙虚だった。残りの8日間は平幕どうしの相撲が続く。

 

伊勢ヶ濱審判部長は相撲内容を評価した上で「下位は変化したり引いたりするので迷いのない精神状態でいってほしい」と相手に惑わされず今場所の相撲を続ける大切さを指摘した。

 

伊勢ヶ濱 審判部長

 

大栄翔も真っ向勝負を変える気はさらさらない。

「番付が下だからとか全く関係ない。上位(幕内)にいる以上はみんな強いんで、変わらずに思い切って向かっていきたい」

 

報道陣の予想をはるかに超える強さを見せる前頭筆頭の大栄翔。念願の賜杯を手にすることが出来れば、“埼玉出身と言えば・・・(大栄翔)”と言われる日が来るかもしれない。

この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者

坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。ヤクルト担当。

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