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特集 5連勝の大栄翔 リズム、回転、前に出る意識で

相撲 2021年1月15日(金) 午後0:30

「自信になる相撲が多いので、プラスに考えて調子を上げていきたい」

 

「綱とり」の貴景勝と正代・朝乃山の三大関に加えて小結2人も破った大栄翔(前頭筆頭)。ことばどおりの相撲で序盤戦を無傷の5連勝で終え、場所の主役となりつつある。

 

 

今場所好調の要因の1つは、持ち味の突き押しでの意識を明確にしたことだ。『リズム』『回転』さらに『前に出る意識』だと言う。この3つの点。5日目の髙安との一番でも見て取れた。大関経験者で過去2勝7敗と大きく負け越している相手に“テンポよく”扇風機のように“ぐるぐると肩を回し”強烈な突きを繰り出しての攻め。さらに粘った難敵に対しても“足を前に出し続けた”。場所前の合同稽古で好調と評判だった高安相手に休まず一気に攻めて土俵下に大きく飛ばした。

 

現役時代、突き押しの激しい相撲で会場を沸かせた藤島審判長(元大関・武双山)も評価する内容だ。

 

 

「迷いなく、連日、すごい相撲を取っている。どんどん前に出ているところがいい」

 

 

 

「新年、最初がよければ1年いいかなと」

こうさりげなく語った大栄翔。初場所で好成績を挙げて三役に復帰し、ことしを盛り返しの年にしたいとの強い思いが込められていた。去年は初場所で新三役に昇進し、秋場所には関脇まで番付を上げた。

 

ところが、大関陣だけでなく平幕相手にも白星を重ねることが出来ず、5勝10敗と大きく負け越し。さらに場所後には痛みに悩まされていた右ひじを手術。先場所(11月場所)は前頭2枚目まで番付を下げた。浮き沈みの激しい1年だった。

 

新たな決意で迎えた今場所、みずからの持ち味を最大限いかすため心に決めた『3つの点』。

ここまで会心の相撲で役力士を倒しての勝ちっぱなしにも気の緩みはない。「本当に序盤なので気にせず集中して一番一番。先のことを気にしても仕方ない。目の前の一番に集中してやりたい」

 

三役復帰を目指してリスタートの初場所。『リズム』、『回転』、『前に出る意識』を忘れず相撲を取り続ければ、中盤戦以降、話題の中心になってくるに違いない。大栄翔は序盤で得た自信を胸に残りの10日間を走り続ける決意だ。

「体の状態はいい。確かな気持ちを持って最後まで集中しきる」

この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者

坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。プロ野球を担当した後、現在はサッカー担当。

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