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特集 大相撲の力士になるにはどうするの?

相撲 2021年1月8日(金) 午後5:30

昭和の大横綱大鵬の孫の王鵬が初場所で新十両に昇進するなど、2世、3世力士が注目されていますが、大多数の力士は中学や高校を卒業してから大相撲に入門しています。力士になるにはどうすればいいのか。お相撲さんの入門を見てみましょう。

新弟子検査合格が第1の関門

新弟子検査を受ける王鵬 (平成30年1月10日)

 

力士になるためには新弟子検査に合格しなければいけません。日本相撲協会の規則では義務教育を終えた23歳未満の男子で、親の承諾書や本人の意思確認書などの書類を提出し、健康診断や検査に合格した者が採用されるとあります。

 

いまの検査の基準は身長167センチ以上、体重67キロ以上です。中学を卒業する者が多く受ける春場所の新弟子検査は、中学卒業見込みの者に限って身長165センチ以上、体重65キロ以上と少し基準が下げられています。王鵬も新弟子検査を受けて力士になりました。

新弟子の数は横ばいが続く

新弟子の数は10年以上横ばいです。春場所は就職場所とも言われて1年でいちばん新弟子が多いのですが、以前に比べて新弟子の数は減って令和2年の合格者は45人です。

 

いちばん合格者が多かった年は年6場所制になった昭和33年以降で見ると、38年の250人で、大鵬、柏戸の両横綱が優勝を争っていた年でした。

新弟子は土俵で披露されて力士の仲間入り

検査に合格した新弟子は、本場所の土俵でいちばん下の階級の序ノ口の取組より前に新弟子同士で相撲を取ります。これを前相撲と言います。

 

そして親方や兄弟子の化粧まわしをつけて、本場所の8日目に土俵で披露されます。次の場所から晴れて番付に名前が載りますが、序ノ口は番付の四股名の文字が小さいから「虫眼鏡」という別名もあります。

コロナ禍でアマチュア相撲優勝者の規定が緩和

感染防止に努めての新弟子検査 (令和2年9月8日)

 

アマチュア相撲の4大大会の優勝者、アマチュア横綱、学生横綱、実業団横綱、国体横綱の4つのタイトルのうち1つを取って1年以内の者は「幕下15枚目格」でスタートするという優遇規定がありますが、コロナ禍のため「1年以内」の規定が「2年以内」に緩和されました。

 

また4大大会で準々決勝に進出した者は「1年以内は三段目100枚目(最下位)格」でスタートするという優遇措置も「1年以内」から「2年以内」に緩和されました。コロナ禍でもなんとか優秀な人材を確保したいという日本相撲協会の思いがうかがえます。

 

令和3年初場所の新弟子検査受検者は3人。このなかから果たして未来の横綱はでるのでしょうか。

この記事を書いた人

北出 幸一

北出 幸一

相撲雑誌「NHK G-Media大相撲中継」編集長。元NHK記者。昭和の時代に横綱千代の富士、北勝海、大乃国らを取材し、NHKを定年退職後に相撲雑誌編集長となる。

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