ストーリー相撲

祖父の横綱 大鵬の故郷、北海道弟子屈町から新十両の王鵬に化粧まわし

2021-01-08 午後 06:00

初場所新十両に昇進した(納谷改め)王鵬は、優勝32回の昭和の大横綱 大鵬の孫です。大鵬の故郷 北海道弟子屈町で、11月場所後に昇進祝賀会が開かれて、地元の応援する会から化粧まわしが贈られました。

 

弟子屈町から贈られた化粧まわし


化粧まわしを制作したのは、力士たちを浮世絵で描いている相撲錦絵師の木下大門さんです。

 

納谷が十両に昇進したら弟子屈から化粧まわしを贈ることが決まったのは、3年前の10月、かつて大鵬さんが名誉会長を務め、毎年東京で開かれている「弟子屈ふる里祭り」に、まだザンバラ髪だった納谷が出席したときでした。弟子屈高校で大鵬の六年後輩になり、生前の大鵬さんとも交流があった木下さんが制作を引き受けました。


木下さんは弟子屈をテーマにしようとデザインを考えていましたが、木下さんが弟子と呼んでかわいがっている相撲好きの(大鵬がいちばん好きという)中学生の女の子が、町の地図を見てひらめきました。「屈斜路湖は大鵬の土俵入り姿で、摩周湖は爺(じい)に話しかける孫!」

 

それを聞いた木下さんが、二つの湖に重ねて絵を描いてみたところ、驚くほどピッタリとおさまりました。

 

木下さんが地図に重ねて描いた絵
屈斜路湖(左)が大鵬で摩周湖が王鵬の横顔

 

ここからイメージを膨らませた木下さんは、2つの湖を濃淡の青で塗り分け、大地は豊穣の稲穂色にしました。さらに鵬が宇宙を飛びながら弟子屈町を見下ろすというダイナミックな構図にして、摩周湖の上に飛んでいる鵬の風切羽、屈斜路湖に鵬の影を描いて、高さと大きさを表現しました。

 

福岡県糸島市の日本刺繍家に発注して、化粧まわしはおととしのうちには完成していましたが11月場所で王鵬が十両昇進を決めて、ようやく日の目を見ました。


化粧まわしにはもう一つ隠しモチーフがあります。屈斜路湖にかかる鵬の影。これは大鵬が色紙に書いていたサインの「大」の字を使っています。

 

大鵬さんの色紙 赤丸が「大」の字

 

祝賀会に参加した木下さんは「大きな鵬が、孫をいつも見守っているのです」と満足げに目を細めていました。


王鵬には兄の鵬山(初月場所序二段)と弟の夢道鵬(同幕下)がいて、弟子屈町ではこの2人にも十両に昇進したら化粧まわしを送る予定です。木下さんは「基本のデザインは一緒にします。湖は描き変えようがないので、地面の色を北海道の雪の白や、春の桜色などに変えようかと思っています」と早くも夢を膨らませています。

この記事を書いた人

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古橋 明尊

元NHK記者。大阪放送局スポーツ専任部長、報道局スポーツニュース部長等を務める。現在は相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」の編集担当。曙、若貴の横綱時代に大相撲取材。

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