ストーリー水泳

渡辺一平 日本のお家芸を引っ張る “後継者”の自負

2020-12-07 午後 07:15

日本選手権の最後を締めくくる男子200m平泳ぎを制したのは、前の世界記録保持者の渡辺一平選手。100mに続く2冠を狙った伸び盛りの佐藤翔馬選手を退け、北島康介さんのあと、日本のお家芸を引っ張る「後継者」の自負を見せました。

男子平泳ぎは“戦国時代”

2020年10月、日本短水路選手権男子200m平泳ぎ決勝 佐藤翔馬選手と渡辺一平選手


「どんどん選手が出てきて、誰が勝ってもおかしくない。まさに戦国時代です」平泳ぎでオリンピック3大会に出場し、現在は東海学園大学水泳部監督を務めるNHK解説者の林亨さんは選手層の厚さをそう話します。

 

北島康介さんがオリンピック2大会続けて2種目の金メダルを獲得し「日本のお家芸」とも言われる平泳ぎ。中でも男子200m平泳ぎは激戦種目で、競泳日本一を決める日本選手権では、これまでも数々の名勝負が生まれてきました。

日本選手権に見る“後継者”の系譜

2012年4月、競泳日本選手権男子100m平泳ぎで優勝し、声援に応える北島康介選手(当時)

 

過去の日本選手権を見てみると、北島康介さんが2012年までに7回優勝。しかしリオデジャネイロオリンピックの代表入りがかかった2016年には決勝で5位となり、オリンピック5大会連続の出場を逃した北島さんは、2日後に現役引退を表明しました。

 

2016年4月、競泳日本選手権男子200m平泳ぎ 優勝の小関也朱篤選手

 

その後、トップを走ったのが小関也朱篤選手です。100mとともに200mでも男子平泳ぎを引っ張り、2015年から4連覇しました。

 

渡辺一平選手

 

そして去年の日本選手権で小関選手の連覇を阻んだのが渡辺一平選手です。当時の世界記録保持者だった渡辺選手は決勝途中まで世界記録を上回るペースで泳ぎ、大会記録の2分7秒02で優勝。渡辺選手の存在によって、日本選手権は世界記録更新を期待させる舞台となります。

 

2020年1月、競泳の北島康介杯 男子200m平泳ぎで優勝した佐藤翔馬選手(右)と2位の渡辺一平選手

 

その2人に割って入ったのが、19歳の大学2年生、佐藤翔馬選手。急成長を遂げた去年は、渡辺選手に次ぐ自己ベストのタイムを持つまでになりました。

 

2019年7月 世界選手権男子200m平泳ぎの表彰式 優勝したアントン・チュプコフ選手(中央)、銀メダルのマシュー・ウィルソン選手(左)、銅メダルの渡辺一平選手(右)

 

さらに、この種目は海外を見渡しても激戦です。去年の世界選手権の決勝は2分6秒12の世界新記録を出したロシアのアントン・チュプコフ選手を筆頭に、渡辺選手を含む同世代の3人が2分6秒台をマーク。激しい競争が競技のレベルを急速に高めています。

 

2020年12月、競泳日本選手権最終日男子200m平泳ぎ決勝 2分7秒08で2連覇した渡辺一平選手

 

6日の決勝では前半から積極的にとばした佐藤選手が終盤ペースを落としたのに対し、持久力が持ち味の渡辺選手が後半で逆転して連覇し、地力の強さを印象づけました。

 

日頃から「北島康介さんに託された200m平泳ぎを自分がつなぐ」と公言する渡辺選手。そして「渡辺選手はあこがれだが倒さないといけない選手」と話す佐藤選手。レース後、報道陣に互いの印象を聞かれた2人はともに「オリンピックのワンツーフィニッシュが目標。だけど優勝は自分」と火花を散らしました。

 

次の真剣勝負はオリンピック代表を争う来年4月の日本選手権です。互いに競い、高めあいながら東京オリンピックの頂点を目指す日本のお家芸の「後継者」争いは、まだまだ続きます。

この記事を書いた人

画像alt入ります

橋本 剛 記者

2005年 NHK入局 

社会部で東日本大震災からの復興や環境問題を取材。スポーツニュース部では水泳を担当。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!