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特集 ベテラン36歳の玉鷲 通算連続出場で脚光

相撲 2020年11月24日(火) 午後7:10

『1301』

この何とも中途半端な数字が、実はとてつもない記録なのだ。大相撲11月場所の13日目。通算連続出場について涼しそうに話すベテラン力士がいた。

「そこは全然意識してない。みなさんが勝手に考えてくれているので」

 

 

36歳の玉鷲は、年齢を感じさせないほどの張りのある体で土俵に上がり続ける。初土俵から17年近く、積み上げてきた通算連続出場は、千秋楽で1301回となった。

 

現役では、もちろん断然トップの1位、歴代でも単独8位だ。場所中の力士は、1日、一番の取組に向けて支度部屋で体を温め汗を流す。玉鷲はいつも出番直前まで基本の動作を入念に繰り返し、確認していた。

 

「親方はいつも“基本をしっかりやれば大丈夫だ”と話していた」

 

この基本の繰り返しと入念な準備こそが出場を続けるために大切だと説いた。

 

 

11月場所は先場所に続き白鵬と鶴竜の両横綱が初日から不在。大関陣では5日目までに朝乃山と正代が休場し、序盤戦で早くも二横綱、二大関が土俵から姿を消した。そうした中でも、西前頭6枚目で臨んだ玉鷲は、持ち味の力強い突き押しで2場所ぶりの勝ち越しを決めた。

 

 

連続出場の歴代単独1位は、元関脇 青葉城の1630回。力のある四つ相撲で番付をあげ、昭和50年代に幕内で活躍し“鉄人”と言われ、37歳で現役を引退した。

 

不滅と言われている記録まで、あと329回。これから3年半以上、土俵に上がり続けることが出来れば、その記録に届く。先は長いが玉鷲には大きな目標がある。

 

 

「40歳を超えても相撲を取りたい」

 

玉鷲は、このままいけば39歳で大記録に並ぶことになる。まだまだ意欲が衰えず前向きに相撲に取り組む姿に記録更新を期待せずにはいられない。

 

ちなみに幕内では、優勝経験のあるベテランで連続出場を長く続けている力士がもう1人いる。34歳の徳勝龍だ。11月場所も千秋楽まで出場し初土俵からの通算連続出場は12年近く、907回となった。「15日間取るのが当たり前という感じ。毎日の体のケアをしっかりやっている。取組は一番だが、支度部屋でも汗をかいて、疲れるぐらいアップしている」

 

 

同じように基礎の反復と入念な準備の大切さを力説した2人は、いずれも初場所で初優勝を果たした。次の場所は偶然にも初場所、休まず働き続けるベテランが再び大きな脚光を浴びる機会が訪れるかもしれない。

 

この記事を書いた人

小野 慎吾 記者

小野 慎吾 記者

平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。

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