ストーリー相撲

照ノ富士 大関復帰に向け「だらだらとしている暇はない」

2020-11-24 午後 06:40

「今の自分ができることは、精いっぱいやった」

 

千秋楽の優勝決定戦を終えた照ノ富士は息をつきながら話した。星の差1つで大関 貴景勝を追った11月場所。「本割」は力で圧倒し13勝2敗で並んだが、最後は優勝決定戦で押し相撲に屈した。

 

 

3年ぶりに三役で臨んだ本場所で優勝に迫った照ノ富士。原動力は大関復帰への強い思いだった。

 

 

朝乃山を2日目に豪快な上手投げで倒したあと「ここからの3場所が大事。元の位置にとりあえず戻りたい」と大関復帰への心の内を明かしていた。

 

2年あまりにわたって大関を務めた照ノ富士は、ひざのけがや病気に苦しみ3年前の九州場所で陥落。その後は休場が続き、一時は、序二段にまで番付を下げた。

 

 

体調の回復に伴って少しずつ番付を戻しながら“元の位置”を意識し始めたのも出来る範囲での準備に手応えを感じていたからだ。

 

9月の秋場所は、勝ち越し後に左ひざのけがで途中休場。下半身を鍛えられない代わりに、上半身のトレーニングに力を入れたという。11月場所の前には、部屋の関取相手に積極的に相撲を取って体の状態を把握しながら今後を見据えていた。

 

「だらだらとしている暇はない。どのみち爆弾を抱えているので、できるうちに全部やりたい」

 

大関昇進の目安とされる「3場所連続で三役を務め、あわせて33勝以上」という高いハードルをクリアするために、この場所の大切さは誰よりもわかっている。

 

 

師匠で審判部長を務める伊勢ヶ濱親方は力を振り絞りながら白星を重ねるまな弟子の活躍を見守る。

 

「13勝は今後に生きる。11月場所のようにできるかぎりのことを最大限やっていけばいい」

 

故障を抱えていながらも相手を力でねじ伏せる照ノ富士の暴れっぷりを目の当たりにすれば、期待は自然と膨らんでくる。

 

ただ、大関から十両以下に落ちた力士が大関の地位に戻ってこれたのは100年近くで1人もいない。平幕からでも大関に返り咲いたのは、今の年6場所制が定着した昭和33年以降では魁傑のただひとりだ。誰もが成し遂げたことのない元の位置を目指す照ノ富士、本当の意味での復活へ、その道のりが始まった。

この記事を書いた人

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小野 慎吾 記者

平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。

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